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イスラエルへの「ダブルスタンダード」に、今こそ国際社会が向き合うべき理由
ネタニヤフ政権の方針に抗議するデモ(今年4月、ベルリン) JONAS GEHRINGーDDPーREUTERS
<各国はなぜイスラエルをそこまで擁護するのか? 歴史を振り返ると「甘い姿勢」ばかりではなかった...>
イスラエルによるパレスチナ自治区ガザへの終わりの見えない攻撃は、国際社会が今後イスラエルとどう向き合っていくのかという、大きな問いを突き付けている。
2023年10月7日のハマスによる大規模なテロ攻撃で、イスラエル史上、最長の戦争が始まった。欧米各国はすぐさまイスラエルへの全面的な支持を表明。アメリカのバイデン大統領や欧州各国首脳が相次いで緊急訪問し、連帯を示した。
しかし、ガザへの苛烈な攻撃が続くと、その論調はすぐに変化。ワシントン・ポスト紙が「西側諸国のウクライナでの道徳主義を損なう」と、ロシアに対する厳しい姿勢とイスラエルに対する姿勢の違いを批判するなど、内外から「ダブルスタンダード」との批判を呼ぶことになった。
人権や人道主義という理念を掲げる欧米各国がなぜイスラエルをそこまで擁護するのか。
背景には、歴史的なユダヤ人迫害やホロコーストに端を発する罪の意識に加え、必ずしも全ユダヤ系人口の意見を反映しているとは言えないが、政治的影響力を持つユダヤ系・非ユダヤ系団体によるアメリカの「イスラエル・ロビー」の存在がある。AIPAC(アメリカ・イスラエル公共問題委員会)はその最たる例だ。
しかし、歴史を振り返れば、アメリカがイスラエルに厳しい姿勢を示したこともある。共和党は今でこそロビー団体の影響を受け、イスラエル支持一辺倒となっているが、かつてはユダヤ人入植地の建設を凍結させるため、貸付保証の停止という制裁をちらつかせて圧力をかけたこともある。
ホロコーストという負の歴史を持つドイツでは近年、いかなるイスラエル批判も許されない風潮が強化されている。08年、国内での議論なしにメルケル首相がイスラエルの国会で行った演説で、イスラエルの安全保障を「国是」としたことから流れが変わった。
イスラエル出身のホロコースト研究者で米ブラウン大学のオメル・バルトフ教授は「イスラエル側からの働きかけもあり、一切批判できなくなった」と指摘。ユダヤ系研究者の反対にもかかわらず、19年にはイスラエルに対するボイコット活動を反ユダヤ主義と見なす決議がドイツ連邦議会で採択された。
ただ、各国政府の姿勢は世論をそのまま反映しているわけではない。論議を呼んでいる国際刑事裁判所(ICC)の逮捕状請求をめぐっては、イギリスで54%、フランスで49%、ドイツでも44%が、イスラエルのネタニヤフ首相に逮捕状が発行されるべきと回答。「発行されるべきではない」は各国とも20%前後だった。
イスラエル観の違いは特に若い世代で顕著だ。
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