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パックンの風刺画コラム Superpower Satire (USA)
歯磨き粉でコロナ予防?──ジョークが通じないアメリカ人と陰謀論パラダイス
©2022 ROGERS‒ANDREWS McMEEL SYNDICATION
<「今度会おうね!」「死ぬほど美味しい」など社交辞令や冗談はある。しかし、これほどまでにウソを真実だと信じるアメリカ人が多ければ、陰謀論者がやりたい放題に>
人間はよくウソをつく。だいぶ老けた友達に「変わらないね!」とか。「似合うね!」も「今度会おう!」も「死ぬほどおいしい」もだいたいウソだ。
社交辞令や冗談として通じるなら、発言が現実にそぐわなくても、行動が伴わなくても、問題ない。でもウソだと分からない相手だと、大問題だ。
Alex Jones(アレックス・ジョーンズ)は陰謀説を流すラジオ番組の司会者で、陰謀説系のウェブサイト、インフォウォーズの創設者でもある。サイト名からも情報(誤報)で戦争を起こす思惑が見えるね。
彼はこれらで20年以上、大声でウソを繰り返してきた。それも社交辞令程度のかわいいやつではなく......。
■オバマはアルカイダの一員だ!
■ヒラリー・クリントンはピザ屋で児童買春をしている!
■大統領選挙で不正があった!
■小学校で起きた銃乱射事件はでっち上げだ!
......などの、とんでもない主張だ。聞き手はウソだと分かれば、娯楽だと捉えてくれるはず。だが陰謀説を信じるリスナーは、行動を起こしてしまう。
「児童買春」を止めるべく実際にピザ屋で銃を乱射する。「不正選挙」を阻止すべく議事堂に乱入する。「偽乱射事件」の「真実」を明かすべく遺族を脅迫する。
ウソが実害を生んでいるのだ。乱射事件の遺族はそう訴え、ジョーンズ相手に裁判を起こした。そしてなんと奇跡的に勝訴し、彼から計4930万ドルの賠償金を勝ち取ることができた!
敗訴に加えて、ジョーンズは主要SNSから追放されてリスナー数が減り、ある程度封じ込められているように見える。
だが風刺画が指摘するとおり、(トランプ前大統領など)他の陰謀論者が同様の「病原体」を全米の大気にまき散らしている。なぜなら、いい商売になるから。
ジョーンズは番組やサイトで自社ブランドの商品を売っていた。「オバマはアルカイダ」と信じる人は「歯磨き粉でコロナを予防できる」といったウソをも信じてくれるようだ。だまされる人がいる限り、だます人も次々と出てきて当たり前。そういう国だ。
というか、そもそもウソが真実だと思うアメリカ人がこんなに多いという真実をウソだと思いたいね。
ポイント
WE'VE ISOLATED AND CONTAINED THIS STRAIN OF THE DEADLY VIRUS!
致命的なウイルスの株の分離と封じ込めに成功したぞ!
GREAT...WHAT ABOUT THE REST?
よし......ほかの株は?