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パックンの風刺画コラム Superpower Satire (USA)
全米を震撼させた議会乱入事件を、観光ツアーだったことにしたい共和党
©2021 ROGERS─ANDREWS McMEEL SYNDICATION
<米共和党のクライド議員は「普通の観光ツアー」だったと、とんでもない理屈で参加者たちを擁護>
1775年4月18日、アメリカ独立戦争の開戦前夜。イギリス軍襲来を警告すべく、ボストンの銀細工師ポール・リビアが馬を走らせたのがいわゆる「真夜中の騎行」だ。リビアはThe British are coming!(イギリス軍が来る!)と叫んだとされるが、史実かどうかは定かではない。しかし、風刺画のようにイギリス人の「観光客(tourists)が来る!」とは確実に叫んでいない。「今すぐぬるいビールと味気ない食事を!」と、お客さんを迎える準備を呼び掛けたわけではないから。
1941年12月7日、真珠湾攻撃があった。翌日フランクリン・ルーズベルト大統領は連邦議会でA date which will live in infamy(将来、恥辱として記憶に刻まれる日になる)と言い、アメリカは第2次大戦に参戦した。確実にJapanese Tourism Infamy!(日本の観光における恥辱!)とは言っていない。若おかみが布団を敷き忘れた日の話ではないから。
2021年1月6日、連邦議会の議事堂に大勢のトランプ支持者が乱入した。大統領選の投票結果を認めず、暴力でトランプ政権の維持を図ったこの愚行は反逆行為、反乱、暴動など人によって呼び方が異なるが確実にnormal tourist visit(普通の観光ツアー)ではない......はず。しかし、共和党のアンドリュー・クライド議員はこう言って暴動を擁護した。
その根拠として、クライドは参加者が彫刻展示エリアを秩序立って歩き、写真やビデオを撮影していたことを挙げている。
確かに、議事堂のガラスを割り侵入するシーン、「副大統領の首をつれ!」と叫ぶシーン、警察官を暴行するシーン、議員の事務所から物を盗むシーンなどに紛れて、秩序正しく歩いている映像もテレビで流れた。しかし、それをもって暴力で政権を覆そうとした行為を正当化するのはとんでもない歴史修正主義(revisionism)にほかならない。
当時スマホがあれば、ボストンへ進軍するイギリス軍の何人かは本場のクラムチャウダーを撮影してインスタ映えを狙ったことだろう。日本軍にはハワイの火山ダイヤモンドヘッドをバックにセルフィーを撮るゼロ戦パイロットもいたかもしれない。観光っぽく映る場面があっても攻撃は攻撃だ。
ちなみに、400人以上の乱入参加者が起訴されているという。きっと喜んでいるだろう。裁判所や刑務所など、普段見られない政府の施設内の楽しいツアーが続くから!
ポイント
GOP REVISIONIST HISTORY...
共和党の歴史修正の歴史
WE'RE WALKING...
俺たちはただ歩いてるだけ...
INSURRECTION TOUR
暴動ツアー
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