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「原神」大ヒットでも、日本の「オタク文化」をこれからも中国が守ってくれる理由

©2023 REBEL PEPPER/WANG LIMING FOR NEWSWEEK JAPAN
<中国企業が開発したスマホゲーム『原神 Genshin』が日本で大ヒット。しかし、日本の「オタク文化」の世界的地位は揺るがない>
「中国企業miHoYo(ミホヨ)が開発したスマホゲーム『原神 Genshin』が日本で大ヒットしている。『鬼滅の刃』『ポケモン』よりオタク層の支持が熱い......。たった6カ月で1000億円超を売り上げた」
衝撃的な記事だ。中国企業が開発したゲームだが、『原神』の設定やキャラクターデザインは日本の影響を強く受けている。
miHoYoの創業者チームは1980年代生まれの中国人オタク。日本の2次元文化で育った彼らは日本の作品の大ファンで、『学園黙示録 ハイスクール・オブ・ザ・デッド』『新世紀エヴァンゲリオン』など日本のアニメ・漫画から多くのインスピレーションを得て、自らの創作に応用した。
オタクが親しみやすい日本アニメっぽい雰囲気も、熱い支持を集める理由だろう。日本人が作ったものより日本っぽい、日本で売れるゲームを中国人が作った......。
アニメや漫画、ゲームなど世界のオタクに愛される日本の文化は中国に負けたのか?
実はアジア初の長編アニメ映画『西遊記 鉄扇公主の巻』が制作されたのは、41年の中国だった。制作者は上海の万籟鳴(ワン・ライミン)と万古蟾(ワン・クーチャン)の万氏兄弟。
42年に日本でも公開され、当時14歳だった手塚治虫に大きな刺激を与えた。戦後の61年には、同じ万氏兄弟のカラー長編アニメ映画『大暴れ孫悟空』が公開され、後にロンドン国際映画祭の賞を受賞した。これは宮崎駿監督も感銘を受けた傑作だった。
中国アニメがそのまま発展し続ければ、世界のアニメ史を塗り替えただろう。だが不幸なことに、輝き始めた中国アニメは文化大革命に遭遇した。激しい政治闘争と過酷な言論弾圧で人々は思考の自由を失い、創造の泉も枯渇した。
もし現在の中国がイデオロギーを強調せず、創作者の表現の自由に干渉しなければ、日本の2次元文化の影響を受け成長した中国の若いクリエーターは、優れた作品を完成できるだろう。
しかし「文革2.0」に入った最近の中国の厳しい検閲を見ると、彼らの創造の泉はまた枯渇するように思える。
表現の自由のない社会に、優れた娯楽作品は生まれない。中国の愚かな検閲制度は、日本の「漫画・アニメ大国」の地位を守っているのかもしれない。
ポイント
游戏开发/动画师
ゲーム開発/アニメーター
miHoYo
中国名は「米哈游」。2011年頃、上海交通大学で学ぶ「80后(80年代生まれ)」の蔡浩宇(ツァイ・ハオユィ)が仲間2人と創業。従業員4000人。
万氏兄弟
籟鳴と古蟾の双子の兄弟が始めたアニメ制作を弟の超塵(チャオチェン)と涤寰(ティーホアン)が手伝った。第1作は1925年制作の広告アニメ。文革で4人とも批判された。
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