コラム

ハリス、副大統領から大統領候補へ...「マダム・プレジデント」の誕生なるか

2024年08月02日(金)10時50分

それでもバイデンは撤退を望まなかった。彼が降りたのは、党内の不和と選挙資金の枯渇が悪化の一途をたどり、トランプに勝つ可能性が絶望的に低くなったからだ。

最終的に引導を渡したのは、長年にわたり下院議長を務めた民主党の重鎮、ナンシー・ペロシだったらしい。またバイデンがすぐに副大統領のハリスを後継に推したのは、自分が副大統領時代に後継者に選ばれなかった心の傷を忘れていないからだろう。


バイデンはアメリカという国家への忠誠を重んじる男だ。だからこそ自らの選挙戦継続を断念すると、すぐに無条件で副大統領のハリスを後継に推した。まさに有終の美を飾る潔い決断。おかげで民主党は8月の党大会における混乱を回避でき、その混乱に乗じてトランプが点数を稼ぐ事態を防いだ。しかもわずか1週間で、新たな候補者に導かれた民主党は失点を取り戻すことができた。

さあ、ここからはカマラ・ハリスの勝負だ。互角以上の勝機はある。そのときアメリカ人の語彙には、新たな単語が加わるだろう。「マダム・プレジデント」と。

newsweekjp_20240801023738.png

2024091724issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年9月17日/24日号(9月10日発売)は「ニュースが分かる ユダヤ超入門」特集。ユダヤ人とは何なのか/なぜ世界に離散したのか/優秀な人材を輩出してきたのはなぜか…ユダヤを知れば世界が分かる

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


プロフィール

サム・ポトリッキオ

Sam Potolicchio ジョージタウン大学教授(グローバル教育ディレクター)、ロシア国家経済・公共政策大統領アカデミー特別教授、プリンストン・レビュー誌が選ぶ「アメリカ最高の教授」の1人

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ナイキ、次期CEOに元幹部ヒル氏起用 ドナホー氏と

ビジネス

フェデックス、通期売上高見通し下方修正 6─8月利

ビジネス

米国株式市場=ダウ・S&P最高値、大幅利下げ好感

ワールド

米、中東巡り全当事者に自制要請 「外交的解決は可能
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ニュースが分かる ユダヤ超入門
特集:ニュースが分かる ユダヤ超入門
2024年9月17日/2024年9月24日号(9/10発売)

ユダヤ人とは何なのか? なぜ世界に離散したのか? 優秀な人材を輩出した理由は? ユダヤを知れば世界が分かる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    クローン病と潰瘍性大腸炎...手ごわい炎症性腸疾患に高まる【新たな治療法】の期待
  • 2
    世界で最も華麗で高額な新高層ビルに差す影
  • 3
    岸田政権「円高容認」の過ち...日本経済の成長率を高められる次期首相は高市氏だ
  • 4
    「ポケットの中の爆弾」が一斉に大量爆発、イスラエ…
  • 5
    米大統領選を左右するかもしれない「ハリスの大笑い」
  • 6
    浮橋に集ったロシア兵「多数を一蹴」の瞬間...HIMARS…
  • 7
    北朝鮮、泣き叫ぶ女子高生の悲嘆...残酷すぎる「緩慢…
  • 8
    地震の恩恵? 「地震が金塊を作っているかもしれない…
  • 9
    「気持ち悪い」「正直言って変...」サブリナ・カーペ…
  • 10
    「トランプ暗殺未遂」容疑者ラウスとクルックス、殺…
  • 1
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座のママが説くスマートな断り方
  • 2
    北朝鮮、泣き叫ぶ女子高生の悲嘆...残酷すぎる「緩慢な処刑」、少女が生き延びるのは極めて難しい
  • 3
    「もはや手に負えない」「こんなに早く成長するとは...」と飼い主...住宅から巨大ニシキヘビ押収 驚愕のその姿とは?
  • 4
    キャサリン妃とメーガン妃の「ケープ」対決...最も優…
  • 5
    クローン病と潰瘍性大腸炎...手ごわい炎症性腸疾患に…
  • 6
    【クイズ】自殺率が最も高い国は?
  • 7
    北朝鮮で10代少女が逮捕、見せしめに...視聴した「禁…
  • 8
    ロシア空軍が誇るSu-30M戦闘機、黒海上空でウクライ…
  • 9
    エリザベス女王とフィリップ殿下の銅像が完成...「誰…
  • 10
    ウィリアムとヘンリーの間に「信頼はない」...近い将…
  • 1
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座のママが説くスマートな断り方
  • 2
    エリート会社員が1600万で買ったマレーシアのマンションは、10年後どうなった?「海外不動産」投資のリアル事情
  • 3
    年収分布で分かる「自分の年収は高いのか、低いのか」
  • 4
    「まるで別人」「ボンドの面影ゼロ」ダニエル・クレ…
  • 5
    森ごと焼き尽くす...ウクライナの「火炎放射ドローン…
  • 6
    「もはや手に負えない」「こんなに早く成長するとは.…
  • 7
    「あの頃の思い出が詰まっている...」懐かしのマクド…
  • 8
    止まらない爆発、巨大な煙...ウクライナの「すさまじ…
  • 9
    「棺桶みたい...」客室乗務員がフライト中に眠る「秘…
  • 10
    ロシア国内クルスク州でウクライナ軍がHIMARS爆撃...…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story