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ハリス、副大統領から大統領候補へ...「マダム・プレジデント」の誕生なるか
例えばノースダコタ州の有権者は、カリフォルニア州の有権者よりも大統領選で1人当たり3倍の力を持つ。そして共和党は概して人口密度の低い州で強い(民主党はその逆)。実際、2000年と16年の大統領選で共和党は一般投票(総得票数)で敗れたが、選挙人の獲得数で逆転勝利を収めている。今回も、ハリスが当選するためには一般投票で600万票の差をつける必要があるとの試算もある。
命運を左右しそうな激戦州はアリゾナ、ジョージア、ミシガン、ウィスコンシン、ネバダ、ペンシルベニアの各州。これらの州はどちらに転んでもおかしくないが、投票率が上がれば民主党に有利だ。アリゾナでは前回22年の中間選挙で民主党が上院選と州知事選を制したが、それは予想を上回る投票率のおかげだった。
副大統領候補選びがカギ
ただしハリスの実力には手厳しい評価もある。前回20年の大統領選では民主党予備選に名乗りを上げたが、あっという間に失速した。滑り出しこそ好調だったものの、陣営の混乱に足を引っ張られて予備選開始前に撤退した。
なにしろスタッフの交代が多かった。上院議員時代もそうだったし、副大統領になってからも最初の2年間は入れ替わりが激しかった。また地元のカリフォルニア州では盤石の地盤を誇るが、あそこは激戦州に比べて圧倒的に左派色が強い。だから勝敗のカギを握る中西部で選挙戦を優位に運べる保証はない。
しかし挽回のチャンスはある。大事なのは伴走者(副大統領候補)の人選だ。普通なら伴走者が注目を集めることはまずないが、今回はそうとは限らず、しかもハリスにとって有利となる可能性がある。
共和党がJ・D・バンスをトランプの伴走者に選んだのは、その若さ(この8月2日で40歳)ゆえだ。彼がオハイオ州選出の上院議員で、本選挙の決め手となりそうな中西部の工業地帯に強いという点も重視されたに違いない。
ただし全国レベルの人気は低い。44年前から実施されている副大統領候補の好感度調査を見ても、バンスは歴代22人の候補者中唯一、マイナス評価となっている(歴代候補の好感度は平均でプラス19%)。
そうであれば、民主党はハリスの伴走者に魅力的な、そして激戦州で人気の高い政治家を起用し、その存在を強くアピールすればいい。ちなみに賭け市場ではアリゾナ州選出上院議員で元宇宙飛行士のマーク・ケリーと、ペンシルベニア州知事のジョシュ・シャピロが本命視されている(本選挙で勝つにはどちらの州も落とせない)。続く候補はノースカロライナ州知事のロイ・クーパー。この州を民主党が制すれば、共和党はかなり苦しくなる。
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