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【モスクワ発】ウクライナ戦争を熱烈支持するロシア人の心理
もう1人の友人は、イラク戦争のほうがウクライナの100倍悪いと主張。ロシアが非難されるのは、欧米がこの国を完全に破壊したいと思っているからだと言った。
別の友人で、外相や多くの大使が卒業した国内最高のエリート大学の学部長も、侵攻の可能性はないと言っていた。だが実際に侵攻が始まると、彼はこんな声明を出した。
「ロシアの目標は変わらない。ロシアの国益にもっと配慮した、より公平な安全保障体制をヨーロッパに構築することだ。NATOのセルビア空爆(1999年)以降の欧州で最大の軍事危機はビジネスのようにルーティン化されている。このことは、国際関係が歴史的に正常な状態に回帰しつつあることを示している」
留学生の多くはこれに猛反発したが、ロシア人の同僚の反応はおおむね好意的だった。
若いロシア兵の遺体の山が無言の帰国をする事態はまだ発生していない。通貨ルーブルは暴落し、物価は既に上昇し始めたが、本格的な経済の悪化はこれからだろう。
「見えない内戦」が始まったロシアが壊滅的な恐慌に陥る未来はおそらく避けられない。10年前、ルーブルの為替レートは1ドル=30ルーブル以下だったが、今月末には1ドル=300ルーブルになるとも言われている。
プーチンの人気と22年間の統治を支えてきたのは、生活水準の向上と安定だ。この2つの柱がわずか2週間でなぎ倒されたように見える。
一方、私がこの記事を書いている間にも、フェイスブックとツイッターへのアクセスが遮断または制限され、最も独立性の高い(おそらく唯一の)テレビ局とラジオ局が閉鎖された。
昨年のノーベル平和賞受賞者の1人ドミトリー・ムラトフが編集長を務める独立系新聞も、閉鎖の瀬戸際にあるそうだ。「プロパガンダ以外のものは全て排除されつつある」と、ムラトフは言う。
私はこの記事を書く前、モスクワにいる最も親しい友人に話を聞いた。ロシアのアイデンティティーの重要な基盤は第2次大戦中のナチス・ドイツに対する英雄的抵抗だが、今のロシアは自分が侵略者になってしまったと、彼は指摘した。
ウクライナ侵攻は現代ロシアの死であり、内戦の始まりでもある。この内戦は戦闘ではなく、大量の移民と、2つの異なる文化・社会への分裂によって顕在化する......。
この親友は他の多くの友人たちと違い、戦争に強く反対している。彼の推定によれば、少なくとも40%のロシア人も同意見だという。今回の出来事は経済的・軍事的な大惨事であると同時に、道徳的な破局でもあると、彼は主張する。
「ロシア人に近いウクライナ人との間に合意点を見いだせないのであれば、私たちの生き方そのものが破綻しているということだ。ウクライナと共存できないのなら、誰と共存できるというのか」
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