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「激ヤセ」ポンペオに見るアメリカ大統領と体重の微妙な関係
まるで別人? 減量前の21年1月(右)と減量後の同年10月 FROM RIGHT: ANDREW HARNIKーPOOLーREUTERS, KOBI WOLFーBLOOMBERG/GETTY IMAGES
<半年間で40キロもやせた前国務長官の劇的ダイエットは2024年に向けた布石?>
2021年6月14日、マイク・ポンペオ前国務長官は体重計に乗り、ぞっとする数字を目の当たりにした。体重が140キロに迫ろうとしていたのだ。アメリカンフットボールのラインマンならまだしも、アメリカ人としては平均的な身長の政治家にはふさわしくない体重だ。
それから6カ月。現在のポンペオは全く別人だ。1月のインタビューで語っているところによると、半年間でなんと40キロも体重を落とすことに成功したのである。政治の本質とは無関係の話だと思うかもしれないが、そうとも言い切れない。これはアメリカの未来に関係してくる話だ。
この大減量を通じて、2024年大統領選を目指す前国務長官の心理が見えてくる。
ポンペオは、トランプ前政権で驚異の出世を遂げた人物だ。その他大勢の下院議員だったが、政権発足時にCIA長官に抜擢されると、恥も外聞もなくトランプ前大統領へのお世辞を重ね、ついに最も名誉ある閣僚ポストである国務長官に起用された。
24年にポンペオが目指すのは、国務長官経験者が次々と大統領を務めた建国初期の伝統を取り戻すこと。第15代ジェームズ・ブキャナンまでの15人の大統領のうち、6人が国務長官経験者だった。しかし、南北戦争以降、大統領になった国務長官経験者は1人もいない。
最近では16年大統領選でヒラリー・クリントンがトランプに苦杯を喫したことが記憶に新しい。ポンペオはクリントンの敗北が頭にあって、減量を決意したのだろう。クリントンは過去30年間で最も精力的に活動した国務長官だったと言えるだろう。
ところが、大統領選投票日の2カ月前、肺炎で体調を崩してふらつきながら9・11テロ追悼式典を途中退出したことが敗北を決定づける要因になった。
テレビ時代になって以降、アメリカ大統領選を制した人物はジョン・F・ケネディからトランプまで全て、激務に耐えられる頑健な人物というイメージを持たれていた。
太りすぎだとしばしば揶揄されたビル・クリントンとトランプも、180センチのポンペオより背が高く、体重はだいぶ軽かった。大統領選を勝ち抜くには瘦せなくてはならないと、ポンペオは考えたに違いない。
賭け市場での支持率を見る限り、24年大統領選の共和党候補者指名レースでポンペオは5位に低迷している。1位のトランプがほかの候補者を圧倒している。しかし、2~4位の候補者(フロリダ州のデサンティス知事、ヘイリー元国連大使、ペンス前副大統領)は、トランプとの関係が良好ではない。もしトランプが出馬を見送れば、ポンペオの支持に回る可能性は高い。
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