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パンデミックのさなかに世界を旅して
ロサンゼルス国際空港に設置された新型コロナの検査場 MARIO TAMA/GETTY IMAGES
<2年で100万マイルを旅してきた筆者が新型コロナ禍で味わった不自由な日々に思うこと>
ジョージ・クルーニーが演じる映画『マイレージ、マイライフ』の主人公は、航空会社のマイルをためることを人生の目標にしている。
この映画を見て、私のほうがすごいと思った。以前、東京の空港ラウンジであるビジネスマンが、今度のワシントンへのフライトで100万マイル到達すると自慢しているのを聞いた。彼は何十年も仕事をしてきたそうだが、私は通常2年以内に100万マイルを超える。
新型コロナウイルスが蔓延して空の旅ができなくなる直前には、1年で100万マイルを移動するペースだった。その後、移動距離は減ったものの、それでも数十万マイルを記録した。
カムチャツカ、アブハジア、オセチアのような新しい場所を訪れる一方で、ウズベキスタン、カタール、ルーマニア、トルコ、イタリアなどのおなじみの場所にも行った。しかも、ほとんどの旅が小さな子供連れだ。
ここで自分がどんな生き方をしているかを考えてみたい。私は何者で、何のために生きているのか──この質問に答えられる状態であれば、新鮮な気持ちと活力と元気を保つことができる。
新型コロナの流行初期に旅ができなくなったことは、私にとって大きなショックだった。国際線の長距離移動は仕事の一部という以上の意味があったからだ。
毎週異なる都市を訪れ、異文化を学び、魅力的な人々と出会い、旧友と交流する──それが不可能になり、私は自分の一部を失った。
私の頭には白髪が少し増えた。世界中を飛び回り、普段会うことのない人々を集めて講義をすることこそ、私のパワーの源泉だった。プロとしての核心的アイデンティティーを失い、私は老いたのだ。
経験豊富な分野では、自分の直感を信じるべきだ。新型コロナの蔓延が始まった頃、私はロシアへの、新婚旅行を兼ねたビジネストリップを3月下旬に予定していた。3月半ば、私は妻(当時は婚約者)に、「状況が悪化する前、今日のうちに飛行機に乗らないといけない」と話した。
彼女は心配性すぎると笑ったが、早く一緒になりたい気持ちは同じだったので、航空券を購入した。旅や国際的規制に対する私の直感は長年の旅で培われたもので、その直感は当たった。
パンデミックのさなかに幼い子供を連れて世界中を旅したのは、これまでの人生で最もやりがいを感じた時間だった。新型コロナ検査の偽陽性や判定の遅れで予定が狂ったり、怒りを抑え切れない出来事もあった(一部の国の300ドルの検査がほかの国の20ドルの検査より質が低かったことや、無意味な渡航禁止など)。
目まぐるしく変わる旅のルールや規制に振り回されたが、それでも私たちは耐えた。パンデミックの混乱の中で、私たちは悟った。何があっても最善を尽くし、一瞬一瞬を大切にすること。困難な状況を楽しめる不屈の精神を持つこと。なぜなら人間としての価値や豊かな人生は、試練にどう対応するかで決まるのだから。
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