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経済政策をめぐる米民主党の「内紛」が共和党にとって厄介な理由
民主党内の左派と穏健派の政策論争がバイデンを助ける可能性も KEVIN LAMARQUEーREUTERS
<左派系の政策に対する穏健派の反発で内紛勃発との見方もあるが、激しい政策論争は大型選挙に向けた資産になる>
2020年大統領選の予備選で穏健派のジョー・バイデン現大統領が左派のバーニー・サンダース上院議員を大差で破り、民主党内の路線対立は沈静化したかに見えた。
ところが、再び内紛が激化するのではないかという観測が持ち上がっている。バイデンが左派の主張に沿う形で最低賃金の大幅な引き上げを打ち出したことに対し、穏健派議員が反対の動きを見せているのだ。最低賃金だけでなく、移民政策や学生ローン救済策など幅広い問題で、左派と穏健派の対立が浮上しつつある。
しかし、意外に聞こえるかもしれないが、こうした党内対立は今後の選挙で民主党に恩恵をもたらす可能性がある。
歴史を振り返ると、大統領選の2年後に実施される中間選挙では、大統領の与党が苦戦を強いられてきた。連邦議会の上下両院で議席を増やしたのは、近年では02年の息子ブッシュ元大統領時代の共和党だけ。下院では、18年のトランプ前大統領(共和党)も、10年のオバマ元大統領(民主党)も、94年のクリントン元大統領(民主党)も大幅に議席を減らしている。現在、民主党の議席は、上院では共和党と同数、下院でも共和党より10議席多いだけだ。
もし過去のパターンどおりになれば、2022年の中間選挙で民主党は議会の少数派に転落する可能性が高い。だが、こうした歴史の法則は今の民主党には当てはまらないかもしれない。理由は主として2つある。
第1に、民主党に「過激な左派」というレッテルを貼ろうとする共和党の作戦は失敗する可能性が高い。民主党内の政策論争ではほとんどの場合、(左派よりも)穏健派の主張が通ると予想できるからだ。大統領選でバイデンが現職のトランプに勝てたのは、無党派層の有権者から「穏健派の実務型政治家」と思われていたからにほかならない。
それに今後、議会での民主党の方針決定に大きな影響力を持つのは、中道志向の有権者の意向を強く意識して行動する上院議員たちなのだ。最も注目すべきなのは、ウェストバージニア州選出のジョー・マンチン上院議員。マンチンは同州知事時代から、選挙ではいつも対立候補に40%以上の大差をつけて圧勝してきた。しかし、18年の中間選挙は3%差の辛勝だった(16年の大統領選では、同州でトランプが圧勝していた)。
マンチンは民主党の議員でありながら、共和党議員とほぼ変わらない立場を取っている。現在の連邦議会の議席割合では、民主党が何らかの法案を可決したくても、党所属の上院議員が1人でも反対に回れば法案は通らない。従って、マンチンが賛成できないような極端に左派的な法案が提出されることは考えにくい。
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