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全米が注目するバイデンの副大統領候補選びは未来の「女性大統領」選びに?

バイデンは「安全策」のライス(写真)かウォーレンを選ぶ? BRENDAN MCDERMIDー REUTERS
<「楽な仕事」の副大統領職が今年の大統領選挙で重要性を帯びている理由>
私はずっとアメリカ副大統領に強い関心を抱いてきた。
今でも覚えているのは、5歳の頃、父が運転する車でドライブをしていて、ワシントンの米海軍天文台の敷地内にある副大統領公邸の前を通り掛かったときのことだ。あれが副大統領の家だよと言われて、とても興奮した。副大統領公邸が私たちの家と同じ通り沿いにあると分かったからだ。
こうした経験ゆえ、私は副大統領という制度に対する批判を受け入れ難く感じてきた。この役職の存在意義を疑問視する主張は後を絶たない。
「世界で一番いい職は副大統領だ。仕事はたった1つ。朝起きて、『大統領は元気かね?』と尋ねることだけだ」と、往年のコメディアンでユーモア作家のウィル・ロジャーズは述べた。いま存命の副大統領経験者で最も有名なのは、ジョー・バイデン前副大統領だろう。そのバイデンもこう語ったことがある。「副大統領は楽な仕事だ。何もしなくていい」
憲法が規定する副大統領の職務は、上院を統括し、採決が半数に割れたら1票を投じること。つまり政策や外交で主要な役回りは期待されていない。
実際、アメリカの歴史では40年近く副大統領不在の期間があった。1967年の憲法修正以前は、副大統領の欠員を埋めるための規定がなく、副大統領が死亡したり、辞任したり、大統領に昇格した場合は空席のままだったのだ。1840~1980年の間、現職の副大統領が大統領選に挑戦して当選したケースは一度もなかった。
しかし、副大統領がのちに大統領になる可能性は十分にある。これまで14人の副大統領経験者が大統領に就任した(このうち、大統領の死亡による昇格が8人、辞任による昇格が1人)。
今年の大統領選は、副大統領の重要性を際立たせている。民主党候補のバイデンは78歳。当選すれば、就任時で史上最高齢の大統領になる。当選しても再選を目指さず、1期限りで退任するという観測も広がっている。
つまり、近くバイデンが選ぶ副大統領候補は、次の大統領の有力候補になる。彼は女性を選ぶと約束しているので、今回の副大統領候補選びは、未来の「史上初の女性大統領」の指名という意味を持ち得る。
消息筋によると、現時点での有力候補は4人。カマラ・ハリス上院議員、スーザン・ライス元国連大使、エリザベス・ウォーレン上院議員、カレン・バス下院議員である。
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