コラム

ついに復活、大本命バイデンの「内なる敵」は若者たち?

2020年03月12日(木)17時30分

3月3日のスーパーチューズデーで、大票田カリフォルニア州では勝利を逃したが…… MIKE BLAKE-REUTERS

<大逆転で勢いに乗るバイデンだが、若者の反乱に足をすくわれたらトランプに勝てない>

ジョー・バイデンは地獄を見た男だ。絶望の淵からはい上がった男だ。

30代になったばかりで上院議員に初当選したのは上出来だったが、悲惨な交通事故で妻と娘を失い、幼い息子2人も瀕死の重傷。若きバイデンは毎日、地元デラウェア州から列車でワシントンの議会に通った。どんな不幸にも不遇にも負けない不屈の精神は、このとき培われた。

1988年の大統領選で初めて民主党の予備選に挑み、早々に敗退した後には脳卒中で倒れ、危篤に陥ったのでカトリックの司祭が呼ばれた。それでも彼は踏みとどまり、議席を守り、やがて上院民主党の重鎮となった。

しかしオバマ政権の副大統領時代に長男を脳腫瘍で失うという悲運に見舞われた。オバマ後継の座を争わなかったのは、この時の喪失感があまりに大きかったからとされる。

そして今年。バイデンは2月11日のニューハンプシャー州予備選で5位に沈んだ。38歳の国政未経験者と高齢の自称社会主義者には遠く及ばず、2人の女性上院議員の後塵も拝した。

もうバイデンの政治生命は尽きたと、誰もが思った。が、やすやすと死を受け入れる男ではない。あれから3週間、気が付けばバイデンは民主党大統領候補争いの先頭を走っている。

3月3日のスーパーチューズデーを終えた段階で、バイデンの獲得代議員数は自称社会主義者のバーニー・サンダース上院議員を大きく上回る。他の中道派候補が撤退したので、もはやバイデンの優位は揺るがないのだが、本選挙で現職ドナルド・トランプを破るにはいくつもの関門が残っている。例えば......。

プロフィール

サム・ポトリッキオ

Sam Potolicchio ジョージタウン大学教授(グローバル教育ディレクター)、ロシア国家経済・公共政策大統領アカデミー特別教授、プリンストン・レビュー誌が選ぶ「アメリカ最高の教授」の1人

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

みずほ証の10ー12月期、純利益は4.4倍 債券や

ビジネス

アングル:中銀デジタル通貨、トランプ氏禁止令で中国

ビジネス

日本製鉄、山陽特殊製鋼を完全子会社に 1株2750

ワールド

ノルウェーで欧州懐疑派政党が政権離脱、閣僚の半数近
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ革命
特集:トランプ革命
2025年2月 4日号(1/28発売)

大統領令で前政権の政策を次々覆すトランプの「常識の革命」で世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
  • 4
    今も続いている中国「一帯一路2.0」に、途上国が失望…
  • 5
    東京23区内でも所得格差と学力格差の相関関係は明らか
  • 6
    ピークアウトする中国経済...「借金取り」に転じた「…
  • 7
    「やっぱりかわいい」10年ぶり復帰のキャメロン・デ…
  • 8
    フジテレビ局員の「公益通報」だったのか...スポーツ…
  • 9
    血まみれで倒れ伏す北朝鮮兵...「9時間に及ぶ激闘」…
  • 10
    DeepSeekショックでNVIDIA転落...GPU市場の行方は? …
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 3
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果が異なる【最新研究】
  • 4
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
  • 5
    緑茶が「脳の健康」を守る可能性【最新研究】
  • 6
    DeepSeekショックでNVIDIA転落...GPU市場の行方は? …
  • 7
    血まみれで倒れ伏す北朝鮮兵...「9時間に及ぶ激闘」…
  • 8
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 9
    今も続いている中国「一帯一路2.0」に、途上国が失望…
  • 10
    煩雑で高額で遅延だらけのイギリス列車に見切り...鉄…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のアドバイス【最新研究・続報】
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 5
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 9
    中国でインフルエンザ様の未知のウイルス「HMPV」流…
  • 10
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story