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大統領権限の抑制に繋がりかねない、トランプ式「根拠なき」非常事態宣言
つまり表面的には、トランプの非常事態宣言は過去の大統領の伝統から大きく懸け離れているわけではない。今回の宣言が激しい論争の的になっているのは、本物の危機や緊急事態ではないのに出されたからだ。トランプ本人も記者会見で危機は存在しないと認め、メキシコ国境に壁を造りたいから宣言したと述べた。
最も興味深いのは、行政の権力に詳しい知識人の解説者がトランプの宣言に強く反対していることだ。明確な根拠を欠く非常事態宣言は最終的に行政の力をそぐ結果になると、彼らは懸念している。
ある研究者はこう指摘する。「大統領が国家非常事態の名の下に議会との交渉を省略しようとする行為は、憲法で認められていない。国家非常事態法と1977年の国際緊急経済権限法は、(本来)どちらも大統領権限を抑えるためのものだ」
布のように根拠が薄い「国家非常事態」は、逆説的に議会の力を強化する可能性がある。大統領権限を明確に制限するため、議会が断固たる行動に出る契機になるからだ。
<本誌2019年03月05日号掲載>
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