コラム

未来を考えるため、Instagramで「東北」を発信し続ける

2016年03月11日(金)06時05分

Japan's Nuclear Power Plant Belt: At the temporarily housing in Onagawa for Japan's 2011 tsunami survivors, a 87-year-old man looks onto the outside, as he suffers with Alzheimer. According to his wife, he becomes so several months after the disaster probably due to the PTSD -- he and his wife nearly lost everything in the moments. Onagawa also contains a nuclear reactor that barely survived from the 2011 quake and tsunami disaster. Yet, since the disaster, the depopulation in Onagawa area has been further accelerated. This man and his wife still live in the tiny space of Kasetsu, temporally housing, as the 4th anniversary is coming soon but the rebuilding is still very behind. One of the biggest reasons is that, due to the recently decided 2020 Tokyo Olympic Games, large parts of rebuilding materials and man power sources have moved to Tokyo. In these political and socio-economic environments, many of the local residents support resuming the suspended nuclear reactor operation. #tsunami #survivor #shinto #kasetsu #311 #3/11 #japan #tohoku

Q. Sakamakiさん(@qsakamaki)が投稿した写真 -

2011年の津波惨事が原因でアルツハイマーになったと思われる宮城県女川の仮設に住む男性。2015年3月。


 写真に潜むアイデンティティーや帰属性――日本人、異邦人、アウトサイダー 、アメリカ、ニューヨークのローワーイーストサイド(私が最も長く住んだ街)、あるいはアイデンティティー・クライシス。そうしたものをオーバーラップさせ、しばしば私自身のメタファーとしても主題を撮影している。時には、like数が伸びないと判っているものでも、実験的にインプットしながら。

 目的は、自らのアイデンティティーをもう一度見つめ直し、生とは、死とは何か、を考えることだ。また、可能な限り多くの人とシェアすることで、我々自身の未来を考えていくためでもある。

【参考記事】<震災から5年・被災者は今(1)> 義母と補償金を親族に奪われて

【参考記事】<震災から5年・被災者は今(2)> 原発作業で浴びた放射線への不安

 このブログで今回紹介した、福島を含む東北の写真はまさに、その意図で撮影し、インスタグラムで発信している。東日本大震災が、千年に1度か2度しか起きない未曾有のものだったとしても、それを想定外の大自然災害として片付けることはできないからだ。ましてフクシマについては、大きな人災要素を孕んでいる。東北で起こり、今も起こっている問題に眼を向けないのは、我々人類の未来に対して眼を背けるのと同じなのである。

今回ご紹介したInstagramフォトグラファー:
Q. Sakamaki @qsakamaki

Japan's Nuclear Power Plant Belt: Crop supporters in no man land in Iitate village in Fukushima, on the 3/11 quake and tsunami anniversary. Iitate village is one of the icons of the Fukushima disaster. The Japanese government, as well as the residents themselves, wants to clean up the radiation-contaminated community as quick as possible. But the progress is very slow. Although people can stay in daytime, the further speed up for the cleaning is very important. Otherwise depopulation is much more accelerated, and it gets much harder to rebuild the village. Actually to prevent depopulation is one of the most critical issues in all parts of Fukushima, even all countryside of Japan. #nuclear_power_plant_belt #genpatsu_belt #fukushima #iitate #snow #radiation #third_anniversary #depopulation #iphoneonly #photodocumentary

Q. Sakamakiさん(@qsakamaki)が投稿した写真 -

原発惨事後、作物の補助器具だけ残っていた福島県飯舘村の冬の畑。2014年3月11日。


2015年の3月11日、ダメージを受けたまま残っていた海岸の連絡通路。福島いわき市で。マゼンタの色は、iPhoneのヒップスタマティックのAPPが偶発的に赤外線設定に変わってしまったため。


プロフィール

Q.サカマキ

写真家/ジャーナリスト。
1986年よりニューヨーク在住。80年代は主にアメリカの社会問題を、90年代前半からは精力的に世界各地の紛争地を取材。作品はタイム誌、ニューズウィーク誌を含む各国のメディアやアートギャラリー、美術館で発表され、世界報道写真賞や米海外特派員クラブ「オリヴィエール・リボット賞」など多数の国際的な賞を受賞。コロンビア大学院国際関係学修士修了。写真集に『戦争——WAR DNA』(小学館)、"Tompkins Square Park"(powerHouse Books)など。フォトエージェンシー、リダックス所属。
インスタグラムは@qsakamaki(フォロワー数約9万人)
http://www.qsakamaki.com

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国、ガリウムやゲルマニウムの対米輸出禁止措置を停

ワールド

米主要空港で数千便が遅延、欠航増加 政府閉鎖の影響

ビジネス

中国10月PPI下落縮小、CPI上昇に転換 デフレ

ワールド

南アG20サミット、「米政府関係者出席せず」 トラ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評家たちのレビューは「一方に傾いている」
  • 2
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一撃」は、キケの一言から生まれた
  • 3
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった...「ジャンクフードは食べてもよい」
  • 4
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 5
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 6
    レイ・ダリオが語る「米国経済の危険な構造」:生産…
  • 7
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 8
    「非人間的な人形」...数十回の整形手術を公表し、「…
  • 9
    「豊尻」施術を無資格で行っていた「お尻レディ」に1…
  • 10
    「爆発の瞬間、炎の中に消えた」...UPS機墜落映像が…
  • 1
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 6
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 7
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 8
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 9
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 10
    「あなたが着ている制服を...」 乗客が客室乗務員に…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story