- HOME
- コラム
- 街中英語のネイティブチェック
- 「Be Careful to Passage Tr…
「Be Careful to Passage Trains」日本の駅で見つけた妙な英語
名詞なのに形容詞として使われ、ofの代わりにtoが付けられ
この英語は正しくない。Be careful of passing trains の方は正しい。 pic.twitter.com/WjWiSEESK7
— ロッシェル・カップ (@JICRochelle) March 17, 2019
●通過列車注意 Be Careful to Passage Trains
この英語には複数の問題があります。まず、passageは名詞なのに、ここでは形容詞として使われていること。
そして、前置詞の問題があります。be carefulと一緒に使うのはtoではなく、ofです(英語を書く時に、このような前置詞の使い方を確認することは大切です)。
正しい言い方としては、Be careful of passing trains.やSome trains pass through without stopping.などが考えられます。通過する電車の危険性を強調したいなら、Watch out for high speed trains passing through.やCaution - Trains Passing At High Speedsといった表現が、短いですし、Watch outやCautionが先に来るので、とても良いのではないかと思います。
機械翻訳では原文に入っていないものを入れられない
日本語の文章の多くには主語がないんですが、英語に訳すと主語を入れる必要があります。機械翻訳ができない作業です。尚、are stoppedを言うと、「今止まっている」と言う意味になりますので、混乱を招くと思います。All trains stop at Moji station and Kokura station.の方が良いと思います。 pic.twitter.com/KBa7IfLuFa
— ロッシェル・カップ (@JICRochelle) June 29, 2019
●門司駅・小倉駅には全て停車します All are stopped at Moji station and Kokura station.
この案内板は北九州市の門司港駅で見かけたものです。その駅には観光客が多く、電車に関して混乱する人もたくさんいると思われます。
何度も「この電車は門司駅に止まりますか?」や「この電車は小倉に止まりますか?」と聞かれて嫌になった駅員が、この案内板を作ったのではないでしょうか。サイズが大きいですし、目立つ場所にあったので、頻繁に聞かれることだったのだろうと推測できます。
ですが残念ながら、これも機械翻訳で作られたような英訳であり、文法的に正しくありません。
この英語にはまず、主語になる名詞がありません。要するに、Allの後には、何らかの名詞が来るべきなのです。日本語で「全て停車」と言う場合、何が停車するかが明確でなくても、それが電車であるということを私たちは推測できます。日本語ではこのように文章の一部分が省略されていても通じることが多いですが、英語はそうではありません。
この場合は何が停車するのか、それに該当する言葉を入れないと文法的におかしくなって読みにくくなってしまうのです。機械翻訳は人間による翻訳と違って、原文に入っていないものを入れることはできないので、このような文章は機械翻訳に向いていないと言えます。
この筆者のコラム
「EXCELLENT WET PAPER」日本の商品パッケージで見かける奇妙な英語 2020.10.14
日本のコロナ危機が示した、機械翻訳依存の危うさと専門用語の日英「誤差」 2020.04.30
「Be Careful to Passage Trains」日本の駅で見つけた妙な英語 2019.09.13