コラム

難民対策の新しいビジョンを提唱する研究者/Frame(組み立てる)

2016年03月09日(水)15時23分

【今週のTED Talk動画】Our refugee system is failing. Here's how we can fix it - Alexander Betts
http://www.ted.com/talks/alexander_betts_our_refugee_system_is_failing...

登壇者:アレクサンダー・べッツ

 最近のニュースの中で、シリアから逃げた難民たちの問題は特に、誰にとっても非常に悲しく心配な出来事だろう。しかし、どうやってこの問題を解決すればいいのだろうか。このTED Talkでは、オックスフォード大学で難民問題を研究しているアレクサンダー・べッツ氏が、難民対策に関する新しいビジョンを提唱している。

 今までは人道的支援の提供が中心で、難民を「負担」として考えていた。しかし、洋服や毛布、シェルターや食物を提供するだけではなく、教育や、働く権利と働く機会、金融サービスへのアクセス、それから世界とのつながりも提供すべきであるとべッツ氏は主張している。また、難民とその受け入れ先を、もっとうまくマッチングさせる方法を探す必要もあるのではないかとも提言している。このTED Talkを聞くことで、難民問題を以前と異なる視点から見ることができるようになるだろう。

【参考記事】ドイツを分断する難民の大波

キーフレーズ解説

Frame
組み立てる

(動画7:10より)

 frameは名詞として「額縁」を意味しますが、動詞としての1つの意味は「組み立てる、構成する」ことです。ある質問やトピックを「枠」に当てはめ、どのように人がそれを捉えるかを示します。frameの仕方は、観点や言葉の選択によって異なります。そのため、どのようにframeされたかによって、ものの考え方やアプローチの仕方が変わります。べッツ氏によれば、政治家は難民問題をゼロサムゲームとしてframeしているそうです。

 ここで典型的な使用例を紹介します:

●Some people frame eating meat as a moral issue, while others view it as a nutritional one.
(ある人は肉を食べることを道徳の問題として組み立てているが、他の人はそれを栄養の問題として見ている)

●The politician framed the debate on the issue in a way that encouraged one interpretation over another.
(ある解釈が別の解釈よりも奨励されるように、政治家はその問題に関する討論をつくり上げた)

●Those who support assisted suicide frame the problem as one of law instead of medicine.
(自殺ほう助を支持する人は、それを医療の課題より法律の課題として考えている)

プロフィール

ロッシェル・カップ

Rochelle Kopp 異文化コミュニケ−ション、グローバル人材育成、そして人事管理を専門とする経営コンサルタント。日本の多国籍企業の海外進出や海外企業の日本拠点をサポートするジャパン・インターカルチュラル・コンサルティング社の創立者兼社長。イェ−ル大学歴史学部卒業、シガゴ大学経営大学院修了(MBA)。『シリコンバレーの英語――スタートアップ天国のしくみ』(IBC出版)、『日本企業の社員は、なぜこんなにもモチベーションが低いのか?』(クロスメディア・パブリッシング)、『反省しないアメリカ人をあつかう方法34』(アルク)など著書多数。最新刊は『日本企業がシリコンバレーのスピードを身につける方法』(共著、クロスメディア・パブリッシング)。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米政権、ベネズエラ国営石油提携会社の輸出許可取り消

ワールド

ドイツ財務相「関税は米国にも打撃」、貿易戦争回避に

ワールド

ゼレンスキー氏は鉱物資源協定からの撤退望んでいる=

ビジネス

イーライ・リリーのアルツハイマー病薬、欧州当局が承
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 3
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 4
    「炊き出し」現場ルポ 集まったのはホームレス、生…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 7
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 8
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 9
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 10
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大…
  • 1
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 2
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 7
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 8
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story