コラム

ヒラリーとイヴァンカが巻き込まれたフェイク登記騒動

2024年06月19日(水)12時00分

そこでジャーナリストは、登記簿の裏面を閲覧したところ、そこには必要な「公証人の署名捺印」が全くされていませんでした。つまりは、登記簿は全くのニセモノだということです。告発を受けたニューヨーク市は、すぐにこの登記をキャンセルしました。ですが「登記申請への審査の厳格化キャンペーン」が行われていた期間に発生した事件ということで、市役所は評判を落とした格好です。

この事件ですが、政治的背景があるとすれば、この2人にイタズラを仕掛けるというのは、右派の可能性も左派の可能性もあります。イヴァンカ氏を裏切り者と考えるトランプ派かもしれないし、クリントン氏を保守と考えて憎む民主党左派系かもしれないわけで、どちらであっても不思議はなく、大した意味もなさそうです。


それ以前の問題として、登記官が何も考えずに機械的に登記処理をしていたというのは、あまりにもお粗末であり、市政への批判に発展するかもしれません。

【関連記事】
都知事選の候補者は東京の2つの課題から逃げるな
新型コロナ変異株「フラート」が感染拡大中...今夏は「爆発と強さ」に要警戒

20240709issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年7月9日号(7月2日発売)は「中国EVの実力」特集。欧米の包囲網と販売減速に直面した「進撃の中華EV」――そのリアルな現在地は?

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


プロフィール

冷泉彰彦

(れいぜい あきひこ)ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。プリンストン日本語学校高等部主任。1959年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学大学院修士(日本語教授法)。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て93年に渡米。

最新刊『自動運転「戦場」ルポ ウーバー、グーグル、日本勢――クルマの近未来』(朝日新書)が7月13日に発売。近著に『アイビーリーグの入り方 アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』(CCCメディアハウス)など。メールマガジンJMM(村上龍編集長)で「FROM911、USAレポート」(www.jmm.co.jp/)を連載中。週刊メルマガ(有料)「冷泉彰彦のプリンストン通信」配信中。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米ISM製造業景気指数、6月は48.5 3カ月連続

ビジネス

ヘッジファンド、機逃す 仏投票後の金融株上昇=ゴー

ビジネス

物言う株主の活動、24年上期は過去最多=バークレイ

ワールド

トランプ氏の免責特権一部認める、米最高裁 審理差し
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:中国EVの実力
特集:中国EVの実力
2024年7月 9日号(7/ 2発売)

欧米の包囲網と販売減速に直面した「進撃の中華EV」のリアルな現在地

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    メーガン妃が「王妃」として描かれる...波紋を呼ぶ「帰ってきた白の王妃」とは?
  • 2
    能登半島地震から半年、メディアが伝えない被災者たちの悲痛な本音と非情な現実
  • 3
    ウクライナ戦闘機、ロシア防空システムを「無効化」...滑空爆弾の「超低空」発射で爆撃成功する映像
  • 4
    中国を捨てる富裕層が世界一で過去最多、3位はインド…
  • 5
    大統領選討論会で大惨事を演じたバイデンを、民主党…
  • 6
    キャサリン妃は「ロイヤルウェディング」で何を着た…
  • 7
    エリザベス女王が「誰にも言えなかった」...メーガン…
  • 8
    中国のロケット部品が村落に直撃...SNSで緊迫の瞬間…
  • 9
    ガチ中華ってホントに美味しいの? 中国人の私はオス…
  • 10
    バイデン大統領の討論会「大失敗」は側近の判断ミス
  • 1
    中国を捨てる富裕層が世界一で過去最多、3位はインド、意外な2位は?
  • 2
    爆破され「瓦礫」と化したロシア国内のドローン基地...2枚の衛星画像が示す「シャヘド136」発射拠点の被害規模
  • 3
    メーガン妃が「王妃」として描かれる...波紋を呼ぶ「帰ってきた白の王妃」とは?
  • 4
    ウクライナ戦闘機、ロシア防空システムを「無効化」.…
  • 5
    ミラノ五輪狙う韓国女子フィギュアのイ・ヘイン、セク…
  • 6
    ガチ中華ってホントに美味しいの? 中国人の私はオス…
  • 7
    「大丈夫」...アン王女の容態について、夫ローレンス…
  • 8
    キャサリン妃は「ロイヤルウェディング」で何を着た…
  • 9
    衛星画像で発見された米海軍の極秘潜水艇「マンタレ…
  • 10
    貨物コンテナを蜂の巣のように改造した自爆ドローン…
  • 1
    中国を捨てる富裕層が世界一で過去最多、3位はインド、意外な2位は?
  • 2
    ラスベガスで目撃された「宇宙人」の正体とは? 驚愕の映像が話題に
  • 3
    ニシキヘビの体内に行方不明の女性...「腹を切開するシーン」が公開される インドネシア
  • 4
    「世界最年少の王妃」ブータンのジェツン・ペマ王妃が…
  • 5
    接近戦で「蜂の巣状態」に...ブラッドレー歩兵戦闘車…
  • 6
    新型コロナ変異株「フラート」が感染拡大中...今夏は…
  • 7
    ウクライナ水上ドローンが、ヘリからの機銃掃射を「…
  • 8
    ヨルダン・ラジワ皇太子妃の「マタニティ姿」が美しす…
  • 9
    早期定年を迎える自衛官「まだまだやれると思ってい…
  • 10
    我先にと逃げ出す兵士たち...ブラッドレー歩兵戦闘車…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story