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ハリケーン被災で政敵と握手、バイデンの成算は?
政敵同士が直接対決するという憶測もあったが…… Evelyn Hockstein-REUTERS
<災害に乗っからなかった姿勢は評価できるが、その「弱腰」は後々問題になるかも>
先週、9月28日(水)にフロリダ半島西岸に上陸したハリケーン「イアン」は、被害規模はもしかしたら米史上最悪とも言われています。その一方で、現場のフロリダ州のロン・デサントス知事(共和)は「ミニ・トランプ」と言われており、「マスク強制の禁止」「教育現場でのLGBTQカミングアウトの禁止」さらには、「ホンジュラス等難民の北部リベラル州への送りつけ」など極端な保守政策で人気があり、11月の中間選挙では自身の知事選を含めて、民主党とは「正面衝突」の構えです。
その知事選でデサントス知事は、ここで再選されることで保守派の代表として大統領の座を狙う構えです。現時点ではトランプの出馬の可能性は五分五分からやや遠のきそうな気配であり、仮にトランプ不出馬の場合は、統一候補の座に一番近いのは彼という見方は相当にあります。民主党としては、この知事選に元共和党の同州知事だったクリスト候補をぶつけていますが、単なる知事の座を争うというだけでなく、保守ポピュリズムの象徴であるデサントスを落選させて、大統領選進出の芽を摘んでおきたい、そんな思惑も濃厚にあります。
そんな中で、被災から一週間が経過した10月5日(水)、バイデン大統領が被災地に視察に訪れると、デサントス知事はこれを迎えて被災状況について報告しました。バイデン大統領はこれを受けて、「完全な復興には数年を要する」という言い方で、被害の深刻度を認識するスピーチを行っています。
超党派的な対応
一部には、大統領はデサントス知事に対して、「避難命令が遅れて犠牲が出た」ことや「難民の北部各州への送りつけは非人道的」だとして、この機会に舌戦を仕掛けるという可能性が指摘されていたのですが、その憶測は空振りに終わりました。デサントス知事も、バイデン政権を厳しく批判することはしませんでした。
つまり、民主党のバイデン大統領と、共和党のデサントス知事は、危機にあたって「政争を棚上げ」して、「超党派的な対応」を選択したわけです。こうした対応には、実は前例があります。
2012年10月のハリケーン「サンディ」では、私の住むニュージャージー州が被災しました。この時は、当時現職であったオバマ大統領(民主)が被災地に駆けつけ、クリスティ知事(共和)と共に「超党派での」復興支援を誓って被災者の喝采を浴びました。この行動は1週間後の大統領選で、オバマ氏が再選されるにあたって、プラスに働いたとされています。クリスティ氏の全国政界における存在感も、この瞬間が起点になっています。
その一方で、ハリケーン対応がジワジワと政権を崩壊に追い込んだ例もあります。
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