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アトランタ銃撃事件が、アジア系へのヘイトクライムを誘発する?
事件がアジア系コミュニティーに与えた衝撃は大きい Shannon Stapleton-REUTERS
<犯行動機は人種ヘイトでないとしても、この時期にアジア系女性が殺害される事件が起きたことで米社会には衝撃が走っている>
今週16日、ジョージア州アトランタ周辺で、3軒の「アジアン・スパ」が銃撃され、計8人が殺害されました。8人のうち7人が女性で、そのほとんどがアジア系と発表されています。また、在アトランタの韓国系メディアによる、7人の中の4人は韓国系と確認されたという報道もあります。
アメリカでは、新型コロナウイルスの感染拡大を契機に、全国的にアジア系に対するヘイトクライムが増加しています。まず2020年春、感染拡大の初期には、予防目的でマスクを着用していたアジア系に対して「感染している人間が病気を広めている」という誤解からの暴行事件が発生しました。
また、トランプ前大統領が再三にわたって「武漢ウィルス」とか「中国ウィルス」と連呼した結果、アジア系への差別感情が広がり、ヘイトを動機とした暴力行為が増大しています。被害は、ニューヨークやカリフォルニアで顕著ですが、近年はアジア系の人口が8%弱まで増えているジョージア州でも、そのような事件は数多く報告されていました。
そんななかで、8人が射殺されたことで全米には衝撃が走っています。ただ、今回の事件は、新型コロナによる影響への不満や、トランプの扇動とは、やや事情が異なるという見方もあります。
犯行動機は「ヘイトではない」
まず、現場となった「マッサージ・パーラー」とか「アジアン・スパ」という店ですが、全米に多く見られる業態です。リゾートホテルなどにある「マッサージ・スパ」と同種の業態ですが、一部の悪質業者は裏で風俗まがいの違法サービスを行っていると言われています。場末のショッピングモールなどに立地していることが多く、私の住むニュージャージーでは、時折、摘発のニュースを目にします。
ちなみに、アトランタ市のケイシャ・ランス・ボトムズ市長は「死者を冒涜したくない」として、被害に遭った3軒が違法な営業を行う店舗であったかどうかは、現時点では話題にしないという立場を取っています。
これとは別に、事件の翌日になって、警察が明らかにしたなかでは、犯人の21歳の男性は、事件の背景には、自分の「セックス依存症」問題があったと述べているそうです。また、犯人が、襲撃した店舗に客として通っていたという事実も明らかになっています。
男性は白人ですが、少なくとも、コロナ禍にあってアジア系の女性が勤務している店に、何らかの「性的な関心」から接近していたのだとすれば、コロナ由来、あるいはトランプに刺激されてのアジア系へのヘイトとは、動機は別である可能性が考えられます。犯人も捜査当局に対して、「人種は動機ではない」とか「ヘイトではない」ということを強調しています。
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