コラム

日本のブラック組織は倫理的に悪いだけでなく、絶望的に非効率

2021年03月02日(火)16時30分

途上国型の合法非合法取り混ぜたグレーな仕事の進め方をしておきながら、文書の記録ということでは先進国並のコンプライアンスが求められる、その隙間を埋めるために、事務方に絶望的な負荷がかかる、そのような構造の中で、多くの事務方の人々が疲弊しているのです。

例えばですが、「女性が入ると会議が長くなる」とか「(女性でも)飲み会を断らない(と出世できる)」などという発想法は、見事にこうしたカルチャーを表しています。

仕事には建前の世界と本音の世界がある、そこまでは程度の差こそあれ全世界で見られることです。ですが、決定は非合法かつ非公式な方法で進めて、それでは社会から批判されるので、建前の世界でも通るような記録は残す、それも高精度のねつ造をするというような非効率をやっているのは日本の一部の組織ぐらいではないかと思うのです。

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プロフィール

冷泉彰彦

(れいぜい あきひこ)ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。プリンストン日本語学校高等部主任。1959年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学大学院修士(日本語教授法)。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て93年に渡米。

最新刊『自動運転「戦場」ルポ ウーバー、グーグル、日本勢――クルマの近未来』(朝日新書)が7月13日に発売。近著に『アイビーリーグの入り方 アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』(CCCメディアハウス)など。メールマガジンJMM(村上龍編集長)で「FROM911、USAレポート」(www.jmm.co.jp/)を連載中。週刊メルマガ(有料)「冷泉彰彦のプリンストン通信」配信中。

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