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ロックダウン解除をめぐって激化する不毛の米イデオロギー対立
カリフォルニア州でロックダウンの解除を求める住民たち(今月26日) Kelly Neill-REUTERS
<ニューヨーク州のクオモ知事らは「コロナ対策に政治対立を持ち込むな」という姿勢を貫いているが、事態はますますその方向に>
新型コロナウイルスの感染拡大に関するトランプ大統領の言動は、これまで何度も立ち位置が変わってきています。まず、2月の時点では「もしかしたらすぐに収束する」とか「コロナ問題を大げさに扱うのは民主党系のフェイクニュース」という言い方で、真剣に取り上げないという姿勢が目立っていました。
その後、アメリカにおける感染拡大が深刻になると、3月11〜13日にかけて専門家チームの助言を受け入れて、全米でのロックダウンを進めるようになりました。ですが、4月中旬になると急に「治療のために患者が死んでしまっては元も子もない」つまり「コロナ対策でロックダウンをするのはいいが、経済を殺してはダメ」というメッセージを出し始めたのです。
このメッセージに触発されて、全米で保守系のデモが拡大していきました。星条旗を振り回して「ロックダウン反対」を叫ぶもので、参加者がマスクもせずに「密集」する現象が多くの州で見られたのです。こともあろうに、トランプ大統領は「社会を解放せよ」などというツイートを連発して、デモに呼応する姿勢を見せていました。
中西部の州から「社会の再オープン」
これに対して、ホワイトハウスの専門家チームは、大統領周辺と協議をして「社会再オープンのためのガイドライン」を発表しました。基本的に「14日連続で感染者数が減少」したことを条件として、3つのフェーズを経て社会活動を再開するという「見取り図」です。
ところが、南部諸州は、この「ガイドライン」を無視するかのように「社会の再オープン」を決定。例えばジョージア州は、4月24日からボウリング場やジム、理髪店などの営業を解禁するとしたのです。これに対してはトランプ大統領は「良いことだが、少し早すぎる」と声明を出したのですが、ジョージア州はオープンを強行しました。
現在は、週末になると「ロックダウン反対」のデモが中部から西部、あるいは南部では当たり前になる一方で、感染拡大が続いているにもかかわらず続々と「オープン」する州が出てきています。これに対して、知事が強いリーダーシップを発揮してロックダウンを続けているニューヨーク、ニュージャージーなど東部の州は警戒感を強めています。
そもそも、新型コロナウィルスの感染拡大については、見事なまでに「ブルーステート(民主党優勢の州)」と、「レッドステート(共和党優勢の州)」の違いがハッキリしていました。「ブルーステート」では感染拡大が早く、「レッドステート」では遅かったのです。
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