- HOME
- コラム
- プリンストン発 日本/アメリカ 新時代
- トランプは北朝鮮核問題を外交解決へと導けるか
トランプは北朝鮮核問題を外交解決へと導けるか
ロシアは、この3カ国とは事情が異なります。シベリア東部の開発において、北朝鮮の廉価な労働力の活用が進む一方で、北朝鮮とは国境を接しているとはいえ、万が一トラブルが発生しても、ダメージは少ない地理的状況にあります。ですから、全く勝手な話ではありますが、朝鮮半島情勢に対処する上での「自由度」があるのです。
失うものが少ない中で、漁夫の利や焼け太りを期待できるのがロシアの立ち位置であり、最近になって北朝鮮への援助を拡大している動機は必ずしも純粋ではないと見ることが可能です。今回は、六者会合という枠組みではなく、ロシアを外した「日米、米韓、米中」の枠組みで調整が進むのは良いことだと言えるでしょう。
この3セットの首脳会談ですが、この順番というのが重要です。トランプ大統領がまず訪中を先にしてしまうと「新体制祝賀」というニュアンスが出るばかりか、北朝鮮情勢への対応についても「習近平主導」という印象が広まってしまいます。ですが、反対に日米と米韓での「合意」を形成したのちに、訪中するのであれば、調整役としての威信を見せることは可能になるからです。
安倍総理の「北朝鮮側から対話をしてほしいと言ってくる状況」を意識した発言と前後する形で、31日には韓国が「中国とあらゆる分野での協力や交流を正常化」させることで合意したと表明しています。今回の一連の首脳外交、そしてAPECを意識した流れは様々な形で表面に出つつあると言って良いでしょう。その流れというのは、外交的解決による核放棄という方向性です。
【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガリニューアル!
ご登録(無料)はこちらから=>>
迷惑系外国人インフルエンサー、その根底にある見過ごせない人種差別 2025.04.23
グーグルへの公取「排除命令」は、日本のデジタル赤字対策になるか? 2025.04.16
トランプ関税が抱える2つの謎......目的もターゲットも不明確 2025.04.09
博士課程の奨学金受給者の約4割が留学生、問題は日本社会の側にある 2025.04.02
内紛続く米民主党、震源地はニューヨーク 2025.03.26
トランプが南米ギャング団幹部を国外追放、司法との対決に直面 2025.03.19
株価下落、政権幹部不和......いきなり吹き始めたトランプへの逆風 2025.03.12