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南北統一後の朝鮮半島を「反日国家」にさせないために
2014年に韓国・インチョンで開催されたアジア大会で掲げられた半島統一を訴える旗 Kim Kyung-Hoon-REUTERS
<朝鮮半島情勢が緊迫するなかで、長期的な視点で日本が警戒しなければならないのは、統一後の朝鮮半島に日本を「仮想敵国」とみなす国家が成立すること>
トランプ政権のティラーソン国務長官が来日し、安倍首相、岸田外相と主として北朝鮮問題について会談するようです。北朝鮮は、安倍=トランプ会談にタイミングを合わせてミサイル発射を行って以降、ミサイル発射を繰り返しています。しかも発射実験は「在日米軍基地を攻撃する任務を負った部隊」が指揮したなどという発言もあり、日米を同時に挑発しているとしか言いようがありません。
その一方で、クアラルンプールにおいて、金正恩・朝鮮労働党委員長の異母兄である金正男氏が殺害される事件も起きています。北朝鮮は、死亡したのは別人だと頑強に否定していますが、正男氏は長年中国が北朝鮮のリーダーの代替候補として「温存」していたと言われた人物ですから、金正恩政権が中国などから「政権交替」を迫られるのを防止、あるいは拒否するメッセージとして、殺害に及んだという見方はできます。
そんな中で、韓国では朴槿恵・前大統領が罷免され、5月に出直しの大統領選が行われることとなりました。後任の大統領は、野党の「共に民主党」系の候補(複数)をはじめとした候補たちの間で争われるわけですが、選挙後に安定した政権ができるのかは不透明な情勢です。これに加えて、米韓による「高高度ミサイル防衛システム(THAAD)」配備に対して中国が強く反発し、中国と韓国の関係は急速に悪化しています。
【参考記事】どうなるポスト朴槿恵の韓国
このような状況下、日本としては「朝鮮半島有事」に備えなければならないわけですが、その際に最も日本として警戒しなくてはならない点が1つあります。それは「日本を仮想敵国とする求心力のもとに統一国家が成立する」という事態です。
私は何も嫌韓感情を煽ろうと言うのではありません。日本との良好な関係が築けるのであれば朝鮮半島が一つの国になるのは良いことだと思います。再統一が民族の悲願だということは、その立場になれば十分に理解できることだからです。
ですが、残念ながら「統一後の国家が日本への敵意を強める」可能性は否定出来ません。というのは、朝鮮半島の統一にはモデルがあるからです。それはドイツに他なりません。1990年のドイツ再統一は平和裏に行われた、それは事実ですが、私が申し上げたいのはその点ではありません。
ドイツの統一時には、東ドイツの経済は破綻に瀕していました。当時の西ドイツのコール首相は、「マルク通貨の一対一交換」「東の住民の国民年金は全額公費による積立」という最大限の優遇措置を行って旧東ドイツの住民を「ドイツ連邦共和国(ブンデスレプブリーク)」に招き入れたのです。
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