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右派と左派の融和に向けた2つの提案
こうした憲法観に対しては、「立憲主義を理解していない」ということで強い非難がされるのが通常です。それで済めばいいのですが、問題は、一旦「憲法による権力の制限への違和感」を持ってしまうと、「お前は立憲主義を理解していない」という批判が受け入れられないばかりか、「立憲主義」の立場から批判をする人が「まるで民意を受けた政府よりも高い権威を振りかざしている」ように見えてしまうということです。
そうなると、「アンチ立憲主義」の側では「立憲主義の名による暴力的な決め付けと見下し」を受けたことに対して「強い反骨精神」が走りだしてしまうことになります。これは、非常に不幸なことだと思います。
人間には自分を含めた多数派が民意を託した政府を支持して、その政府への制限に否定的な感覚を持つということがあります。また、国家というコミュニティに帰属意識を持つ人の一部には、政府権力の制限という考えがやって来ると、まるで「自分の愛する国家が敵視されて」いるように誤解することもあります。
そうした感覚に対して、頭ごなしに「お前は立憲主義を理解していない」という罵声を浴びせて全人格を否定するようなアプローチが、かえって逆効果となっている、この点について30%ぐらい沈静化はできないものでしょうか? これが提案の第1です。
【参考記事】なぜ日本には「左派勢力の旗手」が出現しないのか?
提案の第2は、反対にいわゆる「右派」の方々へ向けたものです。第二次大戦における日本軍の行動、あるいは朝鮮半島の保護国化から直轄領化、さらには「二十一箇条要求」以降の対中政策など戦前の歴史について、否定的な歴史観があります。この歴史観は、何よりも戦争により敗者となった戦後日本の中で、「二度と倫理的な負け組にはなりたくない」という強烈な自意識から来たものです。
裏返してみれば、この「戦前の歴史に対する否定的な歴史観」というのは、自分の帰属する日本は、世界に冠たる倫理的優越を実現したいという、一種の強いナショナリズムから来ているとも言えます。そこにあるのは、強い愛国心であり、国を愛するがゆえに過去の失政を批判し、国際社会の中での過去の悪評を甘んじて受けることで、現在の日本についての「ある種の国威発揚」を狙っているとも言えます。
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