- HOME
- コラム
- プリンストン発 日本/アメリカ 新時代
- 「維新」の「小さな政府論」はどうして行き詰まったの…
「維新」の「小さな政府論」はどうして行き詰まったのか?
戦前の民政党が金解禁と緊縮財政にこだわったのも、民主党の野田政権が税と社会保障の一体改革に突進したのも、そのメカニズムでした。非常にイヤな言い方をすれば、相当な知識の量があり、当座の利害から超越して「国家百年の大計」を考える余裕のある人間だけが「財政規律」などというものに関心を向けるということであり、明治以降の日本という国の底の浅さでもあります。
ですが、そこには確実に「小さな政府論」への支持はあったはずです。「維新」はその点を最初から切り捨てていたわけで、それは1つの見落としだったように思います。
実は、日本の政治風土の中で「小さな政府論」が成立しない理由にはもっと構造的な問題があります。それは、税負担と行政サービスによる見返りという「プラス・マイナス」の議論が極めて「見えにくい」構造があるということです。
その「見えにくさ」というのは、2つの軸について言えます。空間軸と時間軸です。
まず空間軸ですが、現在、東京都を除くすべての道府県は自分の税収だけでは財政が成立しません。つまり国の予算から「地方交付税」という補助を受けて成立しているのです。この交付税があるために、空間上の独立採算というのが見えにくくなっているのです。
非常に問題を単純化して言えば、大阪でカネが足りなくなれば、国が足りない分を埋めてくれるわけです。反対に、大阪で大変な思いをしてリストラをしたり増税をしたりしても、財政上の余裕ができた分だけ丸々大阪にメリットが来るわけではないのです。
時間軸ということでは、これは主として国の問題ですが、国家債務が余りに巨大なために、多少財政を好転させても中長期の「破綻への恐怖」は簡単には消えません。また、反対に多少財政が悪化しても、過去に蓄積された国家債務と比較すると「大したことはない」と思ってしまうということもあります。
そんな中で、激しい政争をしたり、国民を巻き込んで大議論をしたりして一年一年、単年度の財政規律を確保しようなどという雰囲気はないわけです。そもそも、その年に収めた税金の多くは過去の国債の利払いに消える一方で、その年に使うカネは将来から借りてくるわけですから、カネの帳尻の時間感覚がマヒしているわけです。
財政規律という面から考えてみると、日本の「国のかたち」というものは、時間も空間も歪んでしまっています。その中で「小さな政府論」を掲げることが、例えばその人個人にとって、あるいは全体にどんなメリットがあるのか、今回の「維新」という7年半の試行錯誤は、そのことを訴えることの難しさを証明したようにも思います。
しかし日本という国は、これからますます財政規律確保という問題と向かい合っていかなくてはなりません。破綻するには大きすぎる日本を、国際社会は破綻させてはくれませんし、同時に人口減と向かい合っていかなくてはならないからです。その意味で、これからは「維新」とは全く別のイデオロギーと戦略を持って、改めて「小さな政府論」を練り直す勢力が出てこなければならないと思います。
ロス山火事で崩壊の危機、どうなるアメリカの火災保険 2025.01.15
日鉄はUSスチール買収禁止に対して正々堂々、訴訟で勝負すればいい 2025.01.08
日本企業の国内軽視が招いた1人当たりGDPの凋落 2024.12.25
日産とホンダの経営統合と日本経済の空洞化を考える 2024.12.18
医療保険CEO銃殺事件が映すアメリカの現在 2024.12.11
二期目のトランプと「現実世界」を繋ぐのは誰か? 2024.12.04
日本とアメリカの現状否定票、その共通点と相違点 2024.11.27
-
港区 営業アシスタント「海外ネットワークを持つ外資系総合商社」フレックス/残業月10h/年休120日
コーンズ・アンド・カンパニー・リミテッド
- 東京都
- 年収500万円~550万円
- 正社員
-
一般事務/メーカー 残業なし/外資系企業/20-30代活躍中
株式会社スタッフサービス ミラエール
- 東京都
- 月給20万6,000円~
- 正社員
-
貿易事務/流通関連 駅チカ/外資系企業/20-30代活躍中
株式会社スタッフサービス ミラエール
- 東京都
- 月給20万6,000円~
- 正社員
-
経験5年必須/プリセールス/年商250億円企業/リモート可/外資系企業
SAI DIGITAL株式会社
- 東京都
- 年収400万円~750万円
- 正社員