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冷泉彰彦 プリンストン発 日本/アメリカ 新時代
36時間後に迫った大統領選、開票速報のチェックポイント
ハリケーン「サンディ」の被害は、状況が分かるにつれて更に深刻であることが判明しています。私の住むエリアでは5日間停電した後に電気が通じましたが、近隣でもまだまだ停電が続いているところがあります。広域に停電を起こしているところではガソリン不足も起きていますし、被害の甚大な沿岸部では、まだ水の引かない地域もあります。
ニューヨークの被害も大きく、例えばニューヨーク市でも、ダウンタウン、ブルックリン、クイーンズ、スタッテン島では、かなり長期にわたって停電が続いた地区があり、現在でも完全には復旧していません。そんな中、4日に予定されていたニューヨーク・マラソンは「巨大な発電機を並べてイベントをするぐらいなら、停電地域への配慮をするべき」という世論に押されて中止になりました。
一方で、大統領選の投票開始までは36時間を切っており、選挙は終盤の大詰めを迎えています。このニュージャージーでも既に停電地域の投票所については変更がアナウンスされていますし、開票体制にもメドが立ったということで、予定通りに6日の投開票がされることになっています。
では、最終段階における全国の情勢はどうなっているのでしょうか? とりあえず日本時間7日の開票速報を見る上でのチェックポイントを確認しておきたいと思います。
(1)このハリケーン「サンディ」の影響は軽微だと思います。仮にロムニー優勢が伝えられるバージニアでオバマが勝ったとしたら、多少この影響があるかもしれませんが、それ以外は大勢に影響はないでしょう。
(2)オハイオは分かりません。基本的にはオバマリードで来ていますし、自動車産業救済を批判したロムニーに対するネガティブ・キャンペーンは効いているようです。ただ、最後の最後でジワジワとロムニーが世論調査の数字を伸ばしており、仮にここをロムニーが取れば大変なことになります。
(3)もう1つ、ここへ来て注目されているのがペンシルベニアです。基本的にはここもオバマ優勢で来ているのですが、最後に来てロムニーが支持を伸ばしています。この州は選挙人数で20という大きな州であり、ここがロムニーに行くようですとオハイオ抜きでも勝機が出てきます。本稿の時点でもロムニーは同州の東部で大集会を開いており、もしかしたらという可能性もあるようです。
(4)先週の金曜日には10月の失業率が発表になり、7.9%という「ものすごく良くはないが、悪化というほどでもない」数字が出ました。市場は多少下げましたが安定しています。この数字ですが、選挙戦の終盤に与える影響としてはニュートラルというところでしょうか。
(5)当確の予想時刻ですが、いわゆる「スイングステート」では僅差の戦いが続いているので、中部から西部のコロラド、ネバダまで票が開かないと結果が見えない可能性があります。少なくともアイオワあたりまでは見ないと、当確はないでしょう。というより、そもそもオハイオ、ペンシルベニア、フロリダ、バージニアなども僅差で推移して、各州の勝敗確定も遅れそうです。最短でも東部時間の午前零時、日本時間の7日午後2時を回ることになりそうです。
(6)両候補の表情ですが、ここへ来て「最後の追い込み」的な動きはしているのです。ですが、2人共どこか「達観」したようなところがあり、どちらが「敗北宣言」をしても似合うようなムードがあります。そう見えるというのは、結局のところは世界観の衝突というようなことではなく、中道実務家として「どっちが上か」という冷静な選択の選挙になったということだと思います。
(7)最後に1つだけ懸念材料があるとしたら「再集計」という泥仕合になる危険性です。オハイオは「接戦の伝統」があるので大丈夫かもしれませんし、フロリダは2000年の経験で懲りているので問題はないでしょう。可能性があるとしたら、東部が多少ハリケーンの影響を受けているペンシルベニア、同じく全州で雨の被害が出ているバージニアでしょう。ハリケーンの影響で集計に影響が出たというようなことで、結果が余りに僅差だと、負けた方が黙っていない可能性があります。ニュージャージーは恐らくは相当の差でオバマになりそうなので、共和党知事でも難癖をつけるのは難しいように思われます。
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