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冷泉彰彦 プリンストン発 日本/アメリカ 新時代
オバマ、その粘りの秘密
12月21日へと日付の変わった午前1時過ぎ、アメリカの議会上院は難航していた医療保険制度改革の最終案とりまとめへ向けての決議を60対40で可決しました。これで、積年の課題であった国民皆保険に近い制度の実現へと大きく前進したのは間違いありません。早ければ、クリスマスイブの24日の前に、上下両院の新妥協案が一本化され、一気に法案可決ということもあり得る、そんなドラマチックな展開になってきています。
この医療保険制度改革については、公約に大きく掲げて当選したオバマ政権ですが、7月以降に審議が本格化する中では、保守派の抵抗が大きく、一時はメドのつきそうもない迷走ムードになっていたこともありました。オバマ大統領自身も9月上旬に上下両院議会演説を開いて支持を訴えており、この時だけはやや支持が持ち直していたのですが、その後は議会が迷走、その様子に引きずられるように大統領の支持率も低下していました。
賛否が分かれていたのは「パブリック・オプション(公営保険)」で、オバマ大統領と議会下院は強く支持している一方で、共和党との妥協を模索し続けた上院では早い時点で「パブリック・オプションは導入せず」という姿勢を見せていました。このまま進むと、上院の妥協案が固まっても、妥協しすぎだということで大統領や下院は姿勢を変えない危険があったのですが、今回、決議が可決された時点での祝賀ムードの下では、もはや大統領も下院も「乗らないわけにはいかない」わけで、上院案との一本化は意外に早く進みそうな気配です。
では、一時は劣勢と言われたオバマ政権は、どうして今回も「綱渡り」に成功しつつあるのでしょうか? 1つにはオバマの時間感覚、とりわけ「土壇場で帳尻を合わせて締め切りを守る」という感覚がうまく働いているという点を挙げたいと思います。例えば、就任直後の一連の金融危機対策、景気刺激策などでも、勿論この時点では事態が一刻を争う危機だったということもありますが、とにかくタイムリーな意志決定が出来ていたように思います。その際にも優等生的にスケジュールを守るというよりも、ギリギリまで検討を続けて最後は時間のプレッシャーを利用して合意形成に追い込むという手法を使っています。
中でも印象に残るのは、6月29日のGMの破綻です。一度提出されたリストラ案を突き返したり、最終締め切りを何度か延ばしたりした結果、この6月末には泣いても笑っても真剣なリストラ案を出せという「最後通告」をしています。その結果として、GMは破綻に追い込んだのですが、株式市場にはそのショックは伝染せず、社会への影響は最小限に抑えられています。こうしたスケジュール管理法、特に締め切りのプレッシャーをかけて仕事をさせたり、世論を巻き込む仕掛けについて、やはりオバマ大統領の能力は卓越しているように思います。
その背景には、オバマも学んだ、アイビーリーグ以下のアメリカの大学における「スケジュール管理と締め切りの感覚」というカルチャーがあると思います。アメリカの大学では、レポート類の提出締め切りは極めて厳格です。提出はメールを使い、現在では場合によっては「論文の盗用をしていないことを認証する第3者サイト」を経由するよう義務づけられることもあります。そして例えば12月5日が締め切りであるならば、12月5日の深夜23時59分までが「オンタイム」であり、午前0時を過ぎたものは「遅延提出」として減点になるのです。
締め切りを守らせるというと、イエスマン的な小粒な優等生を量産しているようにも見えますが、必ずしもそうではありません。土壇場になって泥縄式にやるのではなく、早々に骨格を固めておきながら、ギリギリまで質の向上、精度の向上を狙って「あがく」学生が良しとされるのです。オバマの時間感覚には、こうした大学教育の影響が感じられます。
年が明ければ、アメリカ社会は別の形で進んでいくかもしれません。少なくとも景気回復の兆候がハッキリした時点で、大統領は更に新しい政策に着手してゆくと思います。その際に例えば、エコカーの環境基準設定であるとか、国内の雇用改善であるとか、場合によっては保護主義的な政策も出してくる可能性もあるでしょう。特に、大統領自身が「締め切り」を切って進めてくる時には、注意が必要だと思います。イニシアティブを完全にアメリカに握られてしまっては、日本は得意分野での能力発揮が難しくなるからです。
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