コラム

「暗号資産」も「仮想通貨」も間違った呼び方です(パックン)

2022年08月13日(土)14時40分

「仮想通貨」も「暗号資産」も適切な表現ではない。そこで僕は「クリプト」をぜひ日本にも広めたい。これはcrypto-currency(暗号通貨)やcrypto-asset(暗号資産)の略ではあるが、英語圏ではcrypto(暗号~)と、誤解を招きかねない後半の部分を切り落として使うことが多い。ぜひ正式名称になってほしい。通貨だとか、資産だとか、そんな不正確な印象を与えないし、「暗号~?」という、「何だろう感」を残すあいまいさがちょうどいいと感じる。

日本には、よく聞くけど意味があまりわからないカタカナの表現が多い。レガシー、レジュメ、リテラシー、アジェンダ、インフォームド・コンセント、インボイス、ビートゥービー、ロングコートダディなどの用語は、このコラムの読者なら全て熟知していると思うが、ピンとこない人が多いはず。クリプトもそんな位置付けで十分だと思う。

人は「暗号資産」と聞くと老後の生活資金のためにあてにしようと思ったり、「仮想通貨」と聞くと円やドルの代わりに使えると思ったりするかもしれない。でも、「クリプト」と聞いて、勘違いのもとでリスキーな冒険に挑戦しようとする人はいないだろう。それでいい。いや、むしろそれがいい。

クリプトは何なのか、どうしても知りたい方は調べればいい。調べてもだいたいわからないけど。

プロフィール

パックン(パトリック・ハーラン)

1970年11月14日生まれ。コロラド州出身。ハーバード大学を卒業したあと来日。1997年、吉田眞とパックンマックンを結成。日米コンビならではのネタで人気を博し、その後、情報番組「ジャスト」、「英語でしゃべらナイト」(NHK)で一躍有名に。「世界番付」(日本テレビ)、「未来世紀ジパング」(テレビ東京)などにレギュラー出演。教育、情報番組などに出演中。2012年から東京工業大学非常勤講師に就任し「コミュニケーションと国際関係」を教えている。その講義をまとめた『ツカむ!話術』(角川新書)のほか、著書多数。近著に『パックン式 お金の育て方』(朝日新聞出版)。

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