日銀は死んだ
なぜ、極東の日本だけが、英国EU離脱で危機になるのか。新興国経済がなぜ日本にだけ影響するのか。安倍首相の伊勢志摩サミットのデジャブである。
さらに、そもそも、中央銀行で株式を購入しているのは、世界で日本だけである。日銀だけである。世界的には理解不能なのである。
欧州はリスクのある国債を買って、国債市場の流動性を確保、金融の機能不全を解消し、米国では、金利低下で住宅投資を支えるために、住宅関連の長期債券を国債とともに買い入れた。しかし、社債を買い入れて、債券市場の金利低下を促すことはあっても、株式を中央銀行が買う例はどこにもない。しかも、6兆円という多額である。さらに日本の株式市場は、英国のEU離脱による下落を回復し、それ以前の水準に戻っているのに、である。世界的には株価は米国などで史上最高値を更新しているときに、である。
まったく意味不明の株式買入という追加緩和だ。
これを行った理由を、あえて日本銀行の執行部の立場に立って考えると、以下のようなストーリーしか思い浮かばない。
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もはや金融緩和は限界だ。拡大して経済によいことはない。副作用、リスク、コストを考えると拡大するべきではない。
一方、これで何もしないわけにはいかない。金融市場の怒り、暴落、円高も怖いし、官邸に対しても、何もしない、というわけにはいかないだろう。何かは、アリバイ作りであったとしてもやらないわけにはいかない。
では、何をするか。
まず、もはや量的緩和は本当に限界だ。これ以上副作用を大きくするわけにはいかない。
とりわけ、国債買い入れ増加額の増加は、政府の発表した28兆円対策と相まって、ヘリコプター・マネーの前哨戦を連想させる。したがって、これはできない。
次に、マイナス金利の拡大は、-0.1%から-0.2%への変更なら、ほとんど効果もないが、実害もなく、金融政策の筋としても、金利引き下げだから、理論的には整合的だし、説明もつきやすい。もっともまともだ。
しかし、金融機関、銀行の反発が怖い。前回、あまりに評判が悪く、三菱でさえ反旗を翻した。これは政府としても良くないから、官邸からも批判が来るだろう。だからできない。
となると、質しかない。
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