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浴衣には江戸っ子の「粋」と反骨精神が詰まっていた...文様で楽しむ「大人のゆかた」の魅力

2023年07月03日(月)10時45分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

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「千鳥」海辺を飛ぶ千鳥の大群を描いた古くて新しいデザインです。かわいらしい千鳥が群れで飛んでいる様子を縦と横をそろえないで配置しています 『老舗呉服店 竺仙のゆかた柄100選レターブック』(芸術新聞社)より


──江戸時代における、ゆかたとはどんなものだったのでしょうか

そのうち、幕府の財政が逼迫してくると、庶民や商人のほうが裕福になってくる。贅沢ができるようになった庶民に対して、幕府はたびたび奢侈禁止令を出します。

絹ものはもちろん、派手な色や柄の大きさまで制限されるようになると、庶民たちは木綿をどう着るか工夫を凝らすようになります。

江戸っ子の「粋」の概念が生まれるのもこの頃です。奢侈禁止への反骨精神もあって、一見、渋好みで豪華には見えないけれど、細かいところにまで手をかけたものを好むようになります。

当時は、手間賃も安ければ時間もあった。だから、ものすごく手のこんだものがつくれたんですね。「粋」という江戸っ子の美意識が浸透していくにつれ、ゆたかもどんどん粋になっていきました。


──当時のゆかたは残っているのでしょうか

ただ残念なことに、庶民のものだったがゆえに、ほとんど残っていないのです。着て着て着古して、最後は灰になるまで使い切った。今でいえば、リサイクルの極致、とてもエコだったのです。

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