最新記事
シリーズ日本再発見

浴衣には江戸っ子の「粋」と反骨精神が詰まっていた...文様で楽しむ「大人のゆかた」の魅力

2023年07月03日(月)10時45分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
竺仙のゆかた

「向日葵」盛りの時期に行儀よく並んで花が正に太陽を追う如く咲き誇っております。夏の代表的な総柄のひとつです『老舗呉服店 竺仙のゆかた柄100選レターブック』(芸術新聞社)より

<今年こそ浴衣を着たいと思っている人は多いはず...。しかし、そもそも浴衣はいつからあるの? スタイリストの原由美子さんが「竺仙」五代目・小川文男さんに聞く>

人との集まり、お出かけの機会がやっとめぐってきた今年。会食や夏祭りなど、浴衣を着るチャンスも増えるはず。

カラフルでモダンな柄の最近の浴衣もいいけれど、紺地や白地の色合いや、日本の伝統的な柄の魅力を知ってほしい......。

そんな思いでスタイリストの原由美子さんが、老舗「竺仙」五代目・小川文男さんに聞いた、浴衣の歴史について。

老舗呉服店 竺仙のゆかた柄100選レターブック』(芸術新聞社)、および『原由美子の大人のゆかた――きものはじめ』(CCCメディアハウス)より一部抜粋する。

◇ ◇ ◇

11-20230628.jpg

「水紋」大きな渦を程良く配置し綺麗な水紋を作っています。明治の頃のデザインだと記録にあります 『老舗呉服店 竺仙のゆかた柄100選レターブック』(芸術新聞社)より


──そもそも、ゆかたの始まりは何でしょうか

ゆかたの語源は湯帷子(ゆかたびら)といわれています。平安時代に、皇族や貴族といった身分の高い人が蒸し風呂に入る際、蒸気でやけどをしないよう、また、素肌を隠すために纏ったのが麻の湯帷子です。

でもこの時代はまだ、きものの形に仕立てたものではなかったと思われます。また、神事や仏教の修行を行う前の沐浴にも湯帷子が用いられました。

江戸時代になって庶民の暮らしが豊かになってくると、庶民も風呂(銭湯)に入るようになり、ゆかたへと発展していきます。

ただ、ゆかたの役割は今と違って、ガウンのように湯上がりに羽織って水気や汗を吸い取るものでした。

丈夫で肌ざわりがよく、吸湿性も高い木綿が普及し、同時に藍が国内で量産できるようになると、染めのゆかたがつくられるようになりますが、最初のうちは絞りや無地が中心でした。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

英HSBC、ネルソン暫定会長が正式に会長就任 異例

ワールド

ハマスが2日に引き渡した遺体、人質のものではない=

ワールド

トランプ氏が台湾保証実施法案に署名、台湾が謝意 中

ワールド

中国新大使館建設、英国が判断再延期 中国「信頼損な
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇気」
  • 2
    大気質指数200超え!テヘランのスモッグは「殺人レベル」、最悪の環境危機の原因とは?
  • 3
    トランプ支持率がさらに低迷、保守地盤でも民主党が猛追
  • 4
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 5
    コンセントが足りない!...パナソニックが「四隅配置…
  • 6
    若者から中高年まで ── 韓国を襲う「自殺の連鎖」が止…
  • 7
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与…
  • 8
    海底ケーブルを守れ──NATOが導入する新型水中ドロー…
  • 9
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 10
    22歳女教師、13歳の生徒に「わいせつコンテンツ」送…
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 3
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 4
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 5
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 8
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 9
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 10
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 4
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中