「アフリカの妖精」に救われて...ヨシダナギだけの写真の世界は、こうして生まれた
なぜ待っていたのかと言うと、私の性格上、やりたい仕事なんて見つかるはずもないことがわかっていたからだ。好きなことほど仕事にはしたくない性分だし(イラストがいい例である。あれを仕事にしたことを後悔している)、なによりも私ができることなんて非常に限られている。
だから、特別、好きなことでもなく(ソレが、好きでも嫌いでもないことが重要である)、なおかつ、無理なくやれることがヒョコッと現れてくれる、そのタイミングと導いてくれる人が現れることを待っていたのだ。そうしたらネットとテレビが私を見つけ、拾ってくれたのだ。
たしかに自分でも、『ちょっと珍しいタイプの写真』だとは思っていたが、自分のイラストが日本ではさっぱりウケなかったこともあって、もはや感覚がおかしくなっていたのかもしれない。それがアートとして、写真として、本当にいいものなのかどうか、まったく自信が持てなかった。
だけど、すごく華やかで珍しい写真だといろいろな人から言われ、テレビで大きな反響をもらった上に「フォトグラファー」という肩書きまでつけてもらって......私の待っていたモノが全部そろったのだ。
どうやら私は人と違う写真を撮れているらしい。だから、フォトグラファーって名乗らせてもらえるらしい。しかも、カメラは好きでもないが、運よく嫌いでもない。重たいことだけがネックではあるが、カメラの知識がなくとも、ボタンを押すだけで撮れてしまうという最新技術に頼れるところが非常に魅力的である。しかも、少数民族に会いに行ける回数も増えるかもしれない。
(あっ......これ、仕事になる!)
おかげで、無事にイラストレーターもやめられた。
『ヨシダナギの拾われる力』
ヨシダナギ[著]
CCCメディアハウス[刊]
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