健康の名の下に、娯楽、文化、ストレス解消法も制限されていく時代なのか
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<ストレス解消の方法は人それぞれ。だが喫煙だけは「個人の自由」といかず、日本の社会から敵視され、規制が強化されてきた。それで本当によいのか、この先に何が待ち構えているのか。非喫煙者からも疑問の声が挙がっている>
3度目の緊急事態宣言が発令されるなど、新型コロナウイルスの猛威は収まるどころか、さらにその勢いを増しているように感じられる。
そんな出口の見えないコロナ禍であらゆる制限が課されている現在、強いストレスを感じている人も多いのではないか。メディアでは「コロナストレス」なる言葉を見かけることも多くなった。
ストレスの怖さは周知の通り。ストレスを原因とする病気も多く、長期間の我慢や放置は禁物だ。
どうやってストレスを解消すればいいか。適度な運動や十分な睡眠など、誰にも共通するアドバイスはよく聞くが、ほかにも飲食や買い物など、人それぞれの方法がある。その根本にあるのは「好きなことを楽しむ」という一点に尽きる。
いま、多くの娯楽やレジャーに制限が課されているものの、各々が許容範囲にある好きなことで可能な限りストレスを発散しているのだろう。お酒が好きな人はお酒を飲む、甘党の人はスイーツを食べる。個人個人がそれでストレスを解消できればいい。
しかし、ある人たちにとって最も身近なストレス解消法だけは「個人の自由意志」というわけにいかず、近年、社会から敵視され厳しい規制が課されてきた。そう、喫煙である。
日本では昨年4月に改正健康増進法が全面施行され、居酒屋やバーといった喫煙との親和性が高い店も原則「全面禁煙」となり、喫煙の自由がさらに規制された。奇しくも5月31日はWHOが定めた「世界禁煙デー」。この機会に喫煙とストレスの関係について考えてみたい。
喫煙者にとっては「たばこ=休憩=リラックス」
なぜ、ここまで喫煙及びたばこに敵意が向けられるのか。自著の『自粛バカ――リスクゼロ症候群に罹った日本人への処方箋』(宝島社新書)で「いまのたばこバッシングは異常で、もはや常軌を逸した"禁煙ファシズム"だ」と記したのは、早稲田大学名誉教授、山梨大学名誉教授の理学博士、池田清彦氏だ。
そして氏は、その理由を「喫煙者がマイノリティとなってしまったから」と断言する。
確かに、1967年(昭和42年)には82.3%あった喫煙率が2002年(平成14年)には50%を切り、2016年(平成28年)にはついに30%を下回るなど、この半世紀で喫煙者は多数派から少数派へと、その数を激減させていった(数値はすべて男性平均)。
「人間はもともとバッシング好き。マイノリティでイジメても問題ないと判断すれば、徹底的にイジメるというパトス(熱情)を持っている」と、池田氏は言う。