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コロナ後の日本、ビジネスパーソンのための「新しい生活様式」案内

2020年07月13日(月)16時10分
西田嘉孝

「ヒルズみんなのルール」に則り、エレベーター内にもソーシャルディスタンスを確保するためのフットプリントが貼られている(六本木ヒルズ)

<電車で通勤し、昼には同僚とランチを取る――そんなかつての日常は今、どのように変化しているのか。人々が戻り始めた「コロナ後」のオフィス街において、各事業者はさまざまな取り組みを行っている>

新型コロナウイルス対策のため発令されていた「東京アラート」は6月11日に解除され、都内の接待を含む飲食店やライブハウスなどに出されていた休業要請も19日には全面的に解除された。そうした制限解除の向きを受け、東京のオフィス街にも人が戻りつつある。

とはいえ、人々の意識も働き方も、コロナ前と後では大きく変わった。

政府の新型コロナウイルス感染症専門家会議では、感染拡大防止のための行動変容を求める指針として「新しい生活様式」を発表。ソーシャルディスタンスの確保や手洗い、マスクの着用といった基本的な感染対策をはじめ、公共交通機関の利用や食事、働き方といったカテゴリーに分け、42項目の実践例が示された。

現在、すでにコロナ以前のように通勤し、昼には同僚とランチを取っているというビジネスパーソンも多いだろう。「新しい生活様式」が求められるコロナ後の世界において、そんなビジネスパーソンの日常はどのように変化しているのだろうか。

車両ごとの混雑状況をリアルタイムで表示

まず、大きな変化が電車の利用だ。国土交通省が発表している「テレワーク・時差出勤呼びかけ後のピーク時間帯の駅利用状況推移」のグラフを見ると、首都圏ターミナル駅(東京、新宿、品川など)の平日ピーク時間帯の利用者は、緊急事態宣言下で約3割まで減少した。

ところが6月末の数値を見ると、コロナ前の約7割まで駅利用者が戻っている。テレワークが普及した企業も一定数はあるものの、当然ながら出社しなければいけないビジネスパーソンは少なくないのだ。

そこで重要になるのが、各自が時差出勤などを利用して、いかに通勤電車での密集を回避するか。JR東日本ではそのための施策として、スマートフォン用アプリ(JR東日本アプリ)でリアルタイムに混雑情報を提供するサービスの拡充を急いでいる。

実際にアプリをインストールして使ってみる。まず利用したい路線を検索し、画面に出てくる列車のアイコンをタップすれば、「座席に座れる程度です」から「かなり混み合っています」まで、5段階で混雑状況が表示される。

しかも、車両ごとの混雑状況までがほぼ正確に反映されており、車内での人混み回避にはかなり有効な手段となりそうだ。

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車両ごとの混雑状況が分かるJR東日本アプリの画面

そもそもこの機能は2014年からアプリに備わっていたものだが、1日あたりのサービス利用件数が、新型コロナ感染拡大によって約1000件から約1万件へと急増。混雑情報のニーズの高まりを受け、現在は山手線のみだが、7月中旬には新たに中央線や埼京線をはじめとする19の線区・区間でのサービス開始が予定されている。

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