米出版界を震撼させる楳図かずおの傑作ホラー『漂流教室』
A Perfect Edition of Horror
2019年12月24日(火)17時15分
アンドルー・ウェーレン
のどかな幕開けが嘘のように、学校の秩序はあっという間に崩壊する。子供たちが派閥に分かれ、暴力的になる一方で、大人たちは全てを失ったストレスに耐えかね、自滅行為や殺人行為に走る。
展開はすさまじく、孤島に漂着した少年たちの狂気を描くウィリアム・ゴールディングの小説『蠅の王』が子供だましに思えるほど。『漂流教室』の小学生は殺し合い、集団自殺し、怪物に食われる。
誕生から半世紀近くがたってもなお、『漂流教室』は今年の米出版界で最も読者をはらはらさせるホラー作品だ。来年2月の第2巻刊行を待ちわびつつ、恐怖を堪能しよう。
<本誌2019年11月5日号掲載>