「ナチス軍帽」写真流出で極右候補が選挙撤退...それでも苦戦するマクロン、やはり「無謀な賭け」は失敗に終わる?
マクロンの賭けとは
マクロンの賭けとは何か。一言でいえば、支持率低迷を逆転する手段として、極右台頭で高まる危機感を利用して議会解散・総選挙に打って出たという意味だ。
そもそもマクロンが6月9日、議会解散・総選挙を発表したきっかけは、同日行われた欧州議会選挙で、各国の極右政党がそれまでになく議席を増やしたことだった。
極右台頭に各国政府は危機感を強めている。マクロンは議会解散にあたって「誰が多数派かを明らかにする」と主張し、極右の勢いを止めるためと強調した。
他のヨーロッパ諸国の首脳と比べてもマクロンが極右台頭に神経を尖らせることは不思議でない。過去2回の大統領選挙でマクロンは、国民連合のルペン候補と一騎討ちを演じてきたからだ。
しかし、マクロンの決定はいわば過剰反応とも呼べるものだった。躍進したとはいえ、欧州議会に占める極右政党の議席は全体の20%程度にとどまるからだ。
マクロンは墓穴を掘るか
だからこそ、解散・総選挙という選択は多くの欧米メディアで驚きをもって迎えられ、そのなかで「マクロンが極右台頭をむしろ利用している」という観測も当初からあった。
仏紙ルモンドは解散の直後、政権関係者の話として、マクロンは欧州議会選挙投票日の数週間前から解散・総選挙を計画していたと報じた。
大統領官邸はこれを否定しているが、そうだったとしてもおかしくないほどマクロン政権が追い詰められていることは確かだ。
インフレなど生活不安を背景に、政府支持率は低迷している。例えばIPSOSによると、マクロン再選直後の2022年5月に42%だった支持率は、2024年6月には28%にまで下がった。
とすると、「マクロンがこのタイミングで解散・総選挙にあえて踏み切ったのは極右への危機感を利用して政権基盤を強化するため」という説は信ぴょう性を帯びてくる。
だからこそ、マクロンの決定は “無謀な賭け” とも呼ばれた。ベルギー最大の仏語紙Le Libreはマクロンを “手負いの政治的動物” と評している(生存本能のみに従っているというニュアンス)。
もしこの観測が正しければ、第2ラウンドで国民連合が勝利した場合、マクロンは墓穴を掘ったことになる。フランスのみならずヨーロッパの行方にも大きな影響を及ぼす、運命の第2ラウンドは7月7日に行われる。
※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。
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