コラム

ハマスが歓迎し、イスラエルは拒否...バイデン政権「ガザ停戦案」で疑われるのは

2024年06月04日(火)12時25分

ガザ侵攻は終わらない

バイデンの本心は神のみぞ知ることで、ガザ侵攻を止めたいと思っている可能性はゼロでないかもしれない。

しかし、バイデンの停戦案が単なる「やってますアピール」だったにせよ、イスラエルに引きずられることへの警戒による仲介だったにせよ、重要なのはネタニヤフが停戦案を拒否した事実だ。

少なくともイスラエル政府からみてアメリカ政府の本気度が疑わしい以上、スルーされても無理はない。

そしてイスラエル軍が攻撃を停止しなければ、バイデンの停戦案を歓迎したハマスも戦闘を続けるだろう。国際的に高く評価されたバイデンの “3段階” ガザ停戦案が水泡に帰すことは、ほとんど避けられないとみられるのである。

※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。

※筆者の記事はこちら

プロフィール

六辻彰二

筆者は、国際政治学者。博士(国際関係)。1972年大阪府出身。アフリカを中心にグローバルな政治現象を幅広く研究。横浜市立大学、明治学院大学、拓殖大学、日本大学などで教鞭をとる。著書に『イスラム 敵の論理 味方の理由』(さくら舎)、『世界の独裁者 現代最凶の20人』(幻冬舎)、『21世紀の中東・アフリカ世界』(芦書房)、共著に『グローバリゼーションの危機管理論』(芦書房)、『地球型社会の危機』(芦書房)、『国家のゆくえ』(芦書房)など。新著『日本の「水」が危ない』も近日発売

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

北朝鮮兵がロシアにいる証拠ある=米国防長官

ワールド

イスラエル軍がガザ攻撃、20人死亡 北部で作戦強化

ワールド

トランプ陣営、英労働党の選挙干渉を批判 調査要求

ワールド

BRICS首脳、ウクライナ・中東紛争を協議 グルー
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:米大統領選 イスラエルリスク
特集:米大統領選 イスラエルリスク
2024年10月29日号(10/22発売)

イスラエル支持でカマラ・ハリスが失う「イスラム教徒票」が大統領選の勝負を分ける

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    秋の夜長に...「紫金山・アトラス彗星」が8万年ぶりに大接近、肉眼でも観測可能
  • 2
    ヨルダン・ラジワ皇太子妃が出産後初めて公の場へ...夫フセイン皇太子と仲良くサッカー観戦
  • 3
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」ものはどれ?
  • 4
    リアリストが日本被団協のノーベル平和賞受賞に思う…
  • 5
    大破した車の写真も...FPVドローンから逃げるロシア…
  • 6
    逃げ場はゼロ...ロシア軍の演習場を襲うウクライナ「…
  • 7
    トルコの古代遺跡に「ペルセウス座流星群」が降り注ぐ
  • 8
    死亡リスクはロシア民族兵の4倍...ロシア軍に参加の…
  • 9
    中国経済が失速しても世界経済の底は抜けない
  • 10
    大谷とジャッジを擁する最強同士が激突するワールド…
  • 1
    秋の夜長に...「紫金山・アトラス彗星」が8万年ぶりに大接近、肉眼でも観測可能
  • 2
    死亡リスクはロシア民族兵の4倍...ロシア軍に参加の北朝鮮兵による「ブリヤート特別大隊」を待つ激戦地
  • 3
    大破した車の写真も...FPVドローンから逃げるロシア兵の正面に「竜の歯」 夜間に何者かが設置か(クルスク州)
  • 4
    韓国著作権団体、ノーベル賞受賞の韓江に教科書掲載料…
  • 5
    目撃された真っ白な「謎のキツネ」? 専門家も驚くそ…
  • 6
    ウクライナ兵捕虜を処刑し始めたロシア軍。怖がらせ…
  • 7
    逃げ場はゼロ...ロシア軍の演習場を襲うウクライナ「…
  • 8
    ロシア西部「弾薬庫」への攻撃で起きたのは、戦争が…
  • 9
    裁判沙汰になった300年前の沈没船、残骸発見→最新調…
  • 10
    北朝鮮を訪問したプーチン、金正恩の隣で「ものすご…
  • 1
    ベッツが語る大谷翔平の素顔「ショウは普通の男」「自由がないのは気の毒」「野球は超人的」
  • 2
    「地球が作り得る最大のハリケーン」が間もなくフロリダ上陸、「避難しなければ死ぬ」レベル
  • 3
    秋の夜長に...「紫金山・アトラス彗星」が8万年ぶりに大接近、肉眼でも観測可能
  • 4
    死亡リスクはロシア民族兵の4倍...ロシア軍に参加の…
  • 5
    大破した車の写真も...FPVドローンから逃げるロシア…
  • 6
    ウクライナに供与したF16がまた墜落?活躍する姿はど…
  • 7
    漫画、アニメの「次」のコンテンツは中国もうらやむ…
  • 8
    エジプト「叫ぶ女性ミイラ」の謎解明...最新技術が明…
  • 9
    ウクライナ軍、ドローンに続く「新兵器」と期待する…
  • 10
    韓国著作権団体、ノーベル賞受賞の韓江に教科書掲載料…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story