ISがモクスクワテロの犯行声明を出してもプーチンが「ウクライナ犯行説」にこだわる3つの理由
③「アメリカ黒幕説」の煽動
そして最後に、①、②と重複するところもあるが、欧米のイメージダウンのため情報を撹乱することだ。
「ウクライナの関与」の示唆により、ロシア政府は「IS-Kのテロに関するアメリカの事前警告」を暗に否定したことになる。
それを発展させると、「アメリカは事前警告をしなかったのに、後になって “警告した” といっている」というストーリーになりやすい。
それをさらに発展させれば、「なぜならアメリカ自身がテロに関わっていたからだ」という陰謀論にもなる。
この主張は一見すれば荒唐無稽だが、「実際IS-Kが犯行声明を出した大きなテロは、アフガニスタンを除けば、ロシアやイランなどアメリカと敵対する国ばかりじゃないか」という論理で正当化されることが想像される。
イランは長年アメリカと敵対してきたが、南東部ケルマンで今年初旬、100人以上が殺害される爆破テロが発生し、IS-Kが犯行声明を出した。この際も、アメリカは敵対するイラン政府に対して事前に警告していたといわれる。
しかもこの爆破テロは、2020年にアメリカのドローン攻撃で殺害されたイラン革命防衛隊のソレイマニ司令官の追悼式の最中に発生した。これも「アメリカ黒幕説」を言いたい人には格好の材料になるだろう。
つまり、アメリカの言い分を暗に否定することは、欧米のイメージを悪化させる陰謀論を広げる効果があるといえる。
欧米では自国の政府への不信感を背景に、Q-Anon支持者を中心にロシアのプロパガンダを信用する人も一定数いる。
とすれば、ほとんどの人が大きな疑問を抱く「ウクライナ犯行説」をプーチンがあえて主張することは、それなりの合理性があることになる。
ただし、それはロシア政府の自己保身にとって、という意味での合理性であり、少なくともIS-Kによるテロが再発するリスクを軽減するものではないだろう。プーチンが「真犯人は他にいる」といっても、それでIS-Kが静かになるはずはないのだから。
※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。
※筆者の記事はこちら。

アマゾンに飛びます
2025年4月8日号(4月1日発売)は「引きこもるアメリカ」特集。トランプ外交で見捨てられた欧州。プーチンの全面攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら
同盟国にも牙を剥くトランプ大統領が日本には甘い4つの理由 2025.03.07
「核兵器を使えばガザ戦争はすぐ終わる」は正しいか? 大戦末期の日本とガザが違う4つの理由 2024.08.15
パリ五輪と米大統領選の影で「ウ中接近」が進む理由 2024.07.30
フランス発ユーロ危機はあるか──右翼と左翼の間で沈没する「エリート大統領」マクロン 2024.07.10
-
リモートワーク実施/土日祝休/残業少/外資系企業のアウトソーシング事業の税務シニアスタッフ
アークアウトソーシング株式会社
- 東京都
- 年収480万円~624万円
- 正社員
-
品川本社/ベンダーファイナンス営業 大手外資系ICTベンダー/業界未経験歓迎・リモートワーク可
NECキャピタルソリューション株式会社
- 東京都
- 年収400万円~630万円
- 正社員
-
東京都港区/外資系企業での一般事務・庶務業務
日本アスペクトコア株式会社
- 東京都
- 月給22万700円~
- 正社員
-
「東京」外資系投資銀行のチーム秘書/土日祝休/年収350万円〜/コミュ力活かせる
グローブシップ・ソデクソ・コーポレートサービス株式会社
- 東京都
- 月給25万円~30万円
- 正社員