なぜウクライナは「世界一の親イスラエル国」なのか
イスラエルに関していえば、アメリカでも「価値観を共有する同盟国」と捉える人は35%にとどまり、「協力すべきパートナーだが価値観は共有していない」(44%)より少ない。
とすると、KIISの分析の通りなら、ウクライナ人のイスラエル支持はイメージ的な「いかにも欧米的な」思考に近いものといえる。
「欧米的なもの」への渇望
なぜウクライナには欧米より「いかにも欧米的」な思考が強いのか。
最大の理由は、ロシアの脅威に直面するなか、ウクライナにとって欧米の一部であることが他のほとんどの国より死活的な重要性をもつことだろう。
旧ソ連構成国で、現在に至るまでNATO加盟国でもEU加盟国でもないウクライナは、欧米の主流ではない。しかし、そのことがかえって多くのウクライナ人に、欧米の主流派より「欧米らしく」あろうとする心理を強めているとみられる。
社会心理学者ヨランダ・イェッテン教授は新参者など傍流の方が、集団のなかで認められるために忠誠心を示しやすいと指摘する。
新入社員の方が、立場の確立された(言い換えると多少手を抜いても問題ない)先輩や上司より、会社や職場への貢献を意識しやすいのは、よく見る光景だ。同様にベトナム戦争などで、アメリカ国内で差別的に扱われていた黒人が数多く従軍したことも、この観点から理解できる。
とすると、いわば欧米の傍流であるウクライナでは、欧米主流派の国より「欧米的なもの」への渇望が強いといえる。
「見捨てられたくない」焦燥
これに拍車をかけているのは、「見捨てられかねない」という焦燥だろう。
イギリスに逃れたウクライナ難民女性はメディア取材に「(イスラエルのガザ侵攻で)メディアや市民がウクライナへの関心を低下させていることに、私だけでなく全てのウクライナ人が悲しんでいる」と応じた。
ガザ侵攻以前から、アメリカでさえ「ウクライナに援助しすぎ」という声が強まっていたことからすれば、これは偽らざるところだろう。
この焦燥が先述のムスリムへの反感と結びつけば、ハマス(やパレスチナ)への憎悪が強まっても不思議ではない。それは欧米各国以上に強いイスラエル支持を生む土壌といえるだろう。
ところが、当のイスラエルはこのウクライナの熱意に、極めてドライな反応しか示していない。それはなぜか(続く)。
※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。
※筆者の記事はこちら。

アマゾンに飛びます
2025年4月29日号(4月22日発売)は「独占取材 カンボジア国際詐欺」特集。タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら
世界に混乱をもたらす「トランプ関税」をロシアが免れたワケ 2025.04.09
同盟国にも牙を剥くトランプ大統領が日本には甘い4つの理由 2025.03.07
「核兵器を使えばガザ戦争はすぐ終わる」は正しいか? 大戦末期の日本とガザが違う4つの理由 2024.08.15
パリ五輪と米大統領選の影で「ウ中接近」が進む理由 2024.07.30
-
土日祝休/外資系オフィス内カフェ・ケータリングの運営スタッフ 年収322万/年休120日
グローブシップ・ソデクソ・コーポレートサービス株式会社
- 東京都
- 年収322万円~350万円
- 正社員
-
東京都港区/外資系企業での一般事務・庶務業務
日本アスペクトコア株式会社
- 東京都
- 月給22万700円~
- 正社員
-
港区/外資企業の総務・ファシリティ管理SV 英語力を活かして活躍 国内外大手2社の合弁会社
グローブシップ・ソデクソ・コーポレートサービス株式会社
- 東京都
- 年収450万円~500万円
- 正社員
-
東京/経理 買掛金等/世界トップクラスの包装資材&機械の外資系メーカー 残業10h・年休125日
シールドエアージャパン合同会社
- 東京都
- 年収525万円~630万円
- 正社員