インド首相はウイルスの「スーパー拡散者」──人災としてのコロナ蔓延
しかし、インドの場合により深刻なのは、政権からもこういったレベルのデマが漏れてくることだ。
感染爆発が続いていた4月14日、インド政府のコロナ対策の最前線にいるV.K.ポール博士は記者会見で、インドの伝統医学アーユルヴェーダに基づくダイエットサプリChyawanprashや、ハーブやスパイスの煎じ薬Kadhaなどを感染予防として勧めた。
これに対して、インド医師会の前会長が「仰天するような内容で、人々を誤らせるものだ」と批判するなど、即座に多くの医師から嵐のようなブーイングが噴出したことは不思議でない。
コロナ対策の足枷としての政治
科学軽視のレベルで言えば、アメリカのトランプ前大統領やブラジルのボルソナロ大統領と比べてまだマシなのかもしれないが、それでもモディ政権にも同様の傾向はうかがえる。
各国を見渡すと、コロナ感染の拡大には政治的要因が多かれ少なかれあるが、インドの場合はそれがとりわけ鮮明だ。政治とは本来、国家や国民の利益を幅広く実現するはずのものだが、モディ政権の場合にはヒンドゥー至上主義や伝統に傾いた支持者を喜ばせるという狭い意味での政治がコロナ対策の足を引っ張っている。
その意味で、インドの状況は、コロナ禍にあっても国民より支持者最優先になりがちな狭い政治の標本ともいえるだろう。
※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。
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