コラム

アフリカ支援を渋りはじめた中国──蜜月の終わりか

2020年10月15日(木)14時50分

これまで中国のアフリカ向け投資は巨大な国営企業によるものが中心だったが、すでに中国の民間企業はGDPの6割を占めるに至っている。そのうえ、アメリカやヨーロッパで中国企業は規制を受け始め、より規制のユルい新たな投資対象を求めている。

その一方で、中国では習近平への権力集中にともない、民間企業経営者に「愛国主義」や「産業報国」を求めるなどの統制が強まっている。中国から世界に向けてのコロナ関連支援のおよそ半分は民間企業によるものだが、これも中国政府の意向を反映したものとみてよいだろう。

こうした背景のもと、アメリカ議会にも発言力をもつ有力シンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)のハンナ・ライダー上級研究員は、中国から今後ローンではなく民間投資がアフリカに向かうと予測している。

これまでも中国は状況に応じてアプローチに変更を加えながらアフリカ進出を進めてきた。コロナ禍に直面しても中国は、政府間ローンから民間投資に軸足を移しながらも、アフリカ進出のスピードと規模を落とさないものとみられる。いわば中国のアフリカ進出は、これからこそ国ぐるみの本番とさえいえる。

それがアフリカ諸国に中国を無視できなくすることは、いうまでもない。

※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。

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プロフィール

六辻彰二

筆者は、国際政治学者。博士(国際関係)。1972年大阪府出身。アフリカを中心にグローバルな政治現象を幅広く研究。横浜市立大学、明治学院大学、拓殖大学、日本大学などで教鞭をとる。著書に『イスラム 敵の論理 味方の理由』(さくら舎)、『世界の独裁者 現代最凶の20人』(幻冬舎)、『21世紀の中東・アフリカ世界』(芦書房)、共著に『グローバリゼーションの危機管理論』(芦書房)、『地球型社会の危機』(芦書房)、『国家のゆくえ』(芦書房)など。新著『日本の「水」が危ない』も近日発売

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