井戸水に頼る人々や売春婦──外出制限を守れない貧困層がアフリカで新型コロナを拡散する
社会全体が高度にシステム化された先進国では、人々はそれに慣れ親しんでいて、想定外のイレギュラーで全体がダウンしたときに対応に苦慮する。「コロナ疲れ」や「コロナうつ」はその表れだろう。
これに対して、ジンバブエのようにそもそも政府がまともに機能しないところでは、人々はむしろそれに慣れていて、政府を当てにせず生き残りを図る。医療問題にも詳しいジンバブエのカーステイン・ノコ弁護士は「アフリカで自宅待機はほとんどの人が実践できない特権だ」と断じているが、その状況ではコロナはもはや二次的な問題でしかないだろう。
ただし、その状況はコロナ感染をさらに拡大させかねない。ジンバブエでは3月24日、新型コロナによる死者が初めて確認されたが、今後たとえ自宅待機が要請されても、生きるのに必死の人々がそれに従うかは疑問だ。
貧困はコロナ蔓延を促す触媒であると同時に、コロナ蔓延で最も影響を受けるのは貧困層といえるのである。
※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。
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