コラム

台湾映画『流麻溝十五号』が向き合う白色テロという負の歴史

2024年09月10日(火)19時35分

今年6月に僕が招待された台北映画祭のメイン会場は中山堂。日本統治期の1936年に台北公会堂として完成し、台湾総督府が置かれた時期もあったという。中庭には抗日戦争の勝利を記念する巨大な石碑が建てられている。建物は日本統治時代そのままだ。日本ならとっくに取り壊しているだろう。負の歴史を大切にする。そんな姿勢を感じる。


パンフレットに寄せた周美玲の一文を最後に引用する。

「不条理に対して私たちにできることは、忘れ去られないように物語を語り継いでいくことだけ。そうしないと、いつまた不条理の脅威が戻ってくるかわからないのです」


newsweekjp_20240905110441.png流麻溝十五号
©thuànn Taiwan Film Corporation
監督/周美玲
出演/余佩真、連兪涵、徐麗雯
(日本公開中)

<本誌2024年9月17/24日号掲載>

プロフィール

森達也

映画監督、作家。明治大学特任教授。主な作品にオウム真理教信者のドキュメンタリー映画『A』や『FAKE』『i−新聞記者ドキュメント−』がある。著書も『A3』『死刑』など多数。

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