コラム

韓国のJ-POP人気に拍車をかけるキュートなガールズバンド、QWERの魅力に迫る

2024年11月02日(土)10時40分


QWERのバックステージを追うプログラム「最愛の子たち」のシーズン2は、1stシングルの公演活動からミニアルバムの準備までを描く。 QWER / YouTube

このような方向性は、人気ユーチューバーのキム・ゲランが考えたものだ。QWERは、彼がK-POPとJ-POPの間を行くようなガールズバンドを作ろうと立ち上げたプロジェクト〈最愛の子たち〉を経て結成されている。

メンバーたちはいずれもビジュアルの良さが際立つ。人気クリエイターのチョダン(1998年11月1日生まれ/リーダー/ドラム&サブボーカル)を筆頭に、インフルエンサーとして広く知られていたマゼンタ(1997年6月2日生まれ/ベース&サブボーカル)とヒナ(2001年1月30日生まれ/ギター&キーボード&サブボーカル)、そして日本でのアイドル活動(元NMB48)を終えて参加したシヨン(2000年5月16日生まれ/メインボーカル&ギター)の4人は、いずれもアイドル的なオーラを放っているのがセールスポイントのひとつになっているのは間違いない。

デビュー1年で"消化不良感"が消え大ブレイク

しかしながら、バンドが活動を開始してしばらくの間はB級感が少しだけ漂っていたのは否めない。YOASOBIやでんぱ組.incといった日本のアーティストを思わせるBPMの速さや凝った展開などを取り込んではいるものの、自分たちの持ち味にするには改善の余地があり、ボーカルも上手いとはいえ、あまりインパクトがないように思えた。



ミニアルバム『MANITO』より「大観覧車」 QWER / YouTube

だが、こうした"消化不良"の状態は、2024年4月にリリースした初のミニアルバム『MANITO』で一気に消え去った。十数年前のK-POPシーンで流行っていたアイドルソング風の「SODA」、韓国のバンド風の「地球征服」、日本のインディーズバンドの香りを漂わせた「大観覧車」など、日韓のどちらかに寄せつつもボーカルや親しみやすいメロディからは両国共通の情感がにじんでいる。



『MANITO』より「悩み中毒」 QWER / YouTube

『MANITO』のリードトラックで大ヒットした「悩み中毒」は、日本の地下アイドルが歌っていそうなアップテンポのナンバーだが、力強く伸びやかなボーカルからはK-POP特有の美学も感じさせ、このふたつの絶妙な組み合わせが今どきの若者の気分にジャストフィットしたと思われる。

プロフィール

まつもとたくお

音楽ライター。ニックネームはK-POP番長。2000年に執筆活動を始め、数々の専門誌・ウェブメディアに寄稿。2012年にはK-POP専門レーベル〈バンチョーレコード〉を立ち上げ、イ・ハンチョルやソヒといった実力派を紹介した。現在は『韓流ぴあ』『ジャズ批評』『ハングルッ! ナビ』などで連載。LOVE FMLuckyFM楽天ポッドキャストの番組に出演中。著書は『K-POPはいつも壁をのりこえてきたし、名曲がわたしたちに力をくれた』(イースト・プレス)ほか。

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