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出演者がみずから歌う韓国ドラマソングの美学 ポイントは「オーソドックスなアレンジ」
近年はK-POPの世界をテーマにしたドラマもあり、U-KISS、SF9、ATEEZといった人気グループのメンバーが役者として参加した『イミテーション』(2021年)は、彼らの歌声をたっぷり聴くことができる。人気ウェブ漫画が原作で、劇中に登場するアイドルグループはリアルな音楽番組に登場するなど話題の多いドラマだったが、残念ながらECLIPSEのような結果は出せなかったようだ。
主人公ではないが印象的な役柄で出演しつつ歌声も響かせるケースも少なくない。代表的なものとしては『彼女の私生活』(2019年)があげられる。バラエティ番組『少年24』出身のユニット・IN2ITが挿入歌を担当し、さらにメンバーのうち4人が劇中に登場。ヒロインが好きなアイドルグループの一員という役を見事に演じきっている。
出演者が歌うドラマ歴代No1は?
今のところ、〈ドラマ出演者が歌う挿入歌〉部門で歴代トップと言えそうなのは、『賢い医師生活』(2020年・2021年)である。5人の医師たちが息抜きにバンドをやるシーンが頻繁に出てくるが、本人たちがリアルに歌い演奏しており、しかもテクニックもプロ級なのだから驚いてしまう。演奏しているのは韓国の古き良き時代のロック&ポップスが大半で、中高年には懐かしく、若者にはフレッシュに響いて好評を博した。
さらにチョ・ジョンソクが歌った「アロハ」や、チョン・ミドの「愛するってわかってた」といった主人公たちが歌うカバーソング(ドラマの印象的なシーンで使用)がヒットチャートの1位を獲得。OSTは配信やCDはもちろん、アナログレコードも発売されるほど多くの人に愛されている。
こうして思いつくままに出演者歌唱のドラマソングを並べてみたが、一連の楽曲を聴いて思ったのは、オーソドックスなアレンジがほとんどで、もっと正直に言ってしまうと、アグレッシブさが足りないということだ。なかでも前述のECLIPSEは、どの曲もひと昔前の王道のアメリカンロック風で特筆すべきポイントが見当たらない。それでも大ヒットしてしまうのは、ドラマの世界観を見事に表現できているからなのだろうか。
OSTとはドラマの演出や演技を引き立てるスパイスのようなものであり、決してメインディッシュではない。マイルドになるのは当然と言えば当然である。とはいえ、サウンドの良し悪しだけを長年語ってきた者としては、悩ましい楽曲が増えてきた----。そう思う今日この頃だ。
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