- HOME
- コラム
- モビリティのこれから
- 「コロナ前のように戻ることはない」鉄道各社の変革と…
「コロナ前のように戻ることはない」鉄道各社の変革と2022年のMaaS展望
日本で決済機能として普及しているのがSuica、ICOCA、PiTaPaなどの交通系ICカードだ。情報の統合の成果として、経路検索アプリが普及している。鉄道利用者の感覚としてはデジタル化が進んでいるように思うかもしれない。
しかし、業界内では「公共交通はデジタル化が遅れている」という自覚がある。Googleマップを越えるアプリは登場しておらず、交通系ICカードは切符の効率化と決済に特化したサービスで、データ活用を念頭に置いた設計になっていないことが多い。また、日本で発展した交通系ICカードの問題点も見えてきた。利用者が何人いたかというデータを取ることはできるが、どんな人がどう移動しているのか──など個客を把握するのは難しい。
外来のMaaSという考え方をベースにしたデジタル化の取り組みは、一通り検討されたように感じる。デジタル化や利用者の利便性を向上するためにMaaSは必要と各社は考えているが、輸入したMaaSの概念に当てはめる方法では、民間企業が公共交通を担う日本の実情やニーズを満たせないことが分かってきている。MaaSの推進は「あるべき論」から始まったが、自社の経営戦略を進める中で自然と行きつく流れの方が日本では合うと感じる。
デジタル化、MaaSを経営戦略に盛り込む鉄道・バス各社が増えてきた。しかし、いろいろと取り組んではみたものの、まだ軌道には乗っていない。戦略に描くも具体化に至っていない企業も多い。
2022年は、改めてここまでの取り組みを振り返り、公共交通のデジタル化による利便性の向上やデータの利活用について検討されるべきだろう。次世代の決済のあり方やグループ内に蓄積された顧客データの統合・活用など、まだ触れられていないMaaSの真髄に迫っていく1年になるのではないかと考えている。
2024年11月26日号(11月19日発売)は「超解説 トランプ2.0」特集。電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること。[PLUS]驚きの閣僚リスト/分野別米投資ガイド
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら
この筆者のコラム
災害対策、事故予防に 気象データの活用がモビリティ分野にもたらすメリット 2022.11.04
学校の統廃合が地域の移動課題解決のカギとなる理由 2022.09.28
担い手不足解消へ ローカル線の低コスト自動運転とBRT化で変わる地方の移動 2022.08.30
「EV後進国」日本の潮目を変えた新型軽EV 地方で売れる理由は? 2022.07.19
改正道路交通法は高齢者の免許更新をどう変える? 「サポカー限定免許」より必要なこと 2022.06.15
知床遊覧船沈没事故から考える、名ばかりの安全対策を見直す道 2022.05.20
教育DXで変わる通学路の安全対策 2022.04.18