コラム

ラストマイルMaaSに見る地域格差──見出せないクルマ以外の選択肢

2021年06月11日(金)19時35分

ラストマイルのMaaSの持続可能な仕組みづくりをするとき、個別のサービスだけを見ていては目的を見失う。なぜなら元から民間の公共交通事業者がサービスを提供できていない地域だからだ。

視点を変える必要がある。これまでは免許制度、交通安全、保険、公共交通、ラストマイル、パーソナルモビリティ、道路の政策が個別に審議されてきた。移動に関わることは個々人の経済力や家族に頼ってきた。いったんドライバーになるとずっとドライバーであり続けることができ、ドライバーを卒業する日が来るとは考えたこともなかったという人も多い。免許返納に直面している80代は特にこのドライバー卒業の概念がなく、いきなりクルマの無い生活を送れと言われてびっくりしている。

肝心なのは、住民一人ひとりに着目し、「その人が暮らしに困っていないか」を出発点にするということ。免許制度や公共交通など個別に取り組むだけではなく、できるだけ自分らしく自分の意思で移動できる状態でいられることが大切だ。MaaSがその目的を実現するために位置付けられなければ、ラストマイル問題が解決されることはないだろう。

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プロフィール

楠田悦子

モビリティジャーナリスト。自動車新聞社モビリティビジネス専門誌『LIGARE』初代編集長を経て、2013年に独立。国土交通省の「自転車の活用推進に向けた有識者会議」、「交通政策審議会交通体系分科会第15回地域公共交通部会」、「MaaS関連データ検討会」、SIP第2期自動運転(システムとサービスの拡張)ピアレビュー委員会などの委員を歴任。心豊かな暮らしと社会のための、移動手段・サービスの高度化・多様化とその環境について考える活動を行っている。共著『最新 図解で早わかり MaaSがまるごとわかる本』(ソーテック社)、編著『「移動貧困社会」からの脱却 −免許返納問題で生まれる新たなモビリティ・マーケット』(時事通信社)、単著に『60分でわかる! MaaS モビリティ革命』(技術評論社)

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