- HOME
- コラム
- モビリティのこれから
- 日本と欧米の「福祉車両」から、高齢者・障害者を取り…
日本と欧米の「福祉車両」から、高齢者・障害者を取り巻く環境の違いが見えてくる
──日本に自操式福祉車両の機器メーカーやそれを取り付ける会社はないのか。
日本の自操式の福祉車両の機器メーカーは2から3社しかいない。カスタマイズしたり取り付ける事業者も非常に少ない。日本では、もしカスタマイズしたクルマに乗って事故を起こしたら医師は責任をとれないと及び腰だ。
また日本の福祉の業界の問題点は、良い製品と適正工賃を正当な理由と価格で決められていない点だ。補助金ありきの価格設定、商品開発、営業などになりがちだ。補助金ありきで考えると、この補助金が出るからその範囲内でといった思考になり、利用する本人にとって最適なものが提供されず、提供する事業者にとっても利益が出しにくい。両者にとって適正で自信が持てるようにしないといけない。
イタリアをはじめ欧米ではカスタマイズの会社が全国にあり、しっかりとしたビジネスができあがっている。先進国の中で自操式の福祉車両のビジネスモデルができていないのは、日本だけだ。しっかりとしたビジネスモデルを構築し、東京のみならず、この自操式の福祉車両を日本全国に広めたい。そのために弊社は全国福祉車両改造事業ネットワーク構築およびコンサルティング業務も行っている。まず全国にある自動車整備業界を中心に、この自操式の福祉車両の必要性を理解してもらい取り組む事業者を増やしていきたい。
そして障害を持つ人や高齢者が主体的に自分の人生を設計できて、毎日をもっと自由に楽しめる世界を実現していきたい。
この筆者のコラム
災害対策、事故予防に 気象データの活用がモビリティ分野にもたらすメリット 2022.11.04
学校の統廃合が地域の移動課題解決のカギとなる理由 2022.09.28
担い手不足解消へ ローカル線の低コスト自動運転とBRT化で変わる地方の移動 2022.08.30
「EV後進国」日本の潮目を変えた新型軽EV 地方で売れる理由は? 2022.07.19
改正道路交通法は高齢者の免許更新をどう変える? 「サポカー限定免許」より必要なこと 2022.06.15
知床遊覧船沈没事故から考える、名ばかりの安全対策を見直す道 2022.05.20
教育DXで変わる通学路の安全対策 2022.04.18