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中東の混乱、真の問題は「宗教」ではない...サイバー戦争を軸に「地政学」の全貌を読み解く
イスラエルによる空爆を受けたガザ北部の難民キャンプ(10月31日) Anas al-Shareef-Reuters
<中東地域では「世界の地政学的な傾向」がどこよりも先に見られる傾向があり、サイバー領域においても世界に先駆けた動きが出ている>
2023年10月7日、イスラム組織ハマスがイスラエルに大規模攻撃を行った。それを受けて、イスラエル側も報復に乗り出しており、中東和平問題が再び混乱している。
表面的に見ると、中東地域のイメージは宗教的な狂信性が情勢を左右しているイメージがある。しかし、中東地域の混乱は、実際には宗教的事柄よりも純粋な地政学の問題が大きくからんでいる。中東地域は地政学の温床とも言え、さらに世界の地政学的な傾向が他よりも先に見られる傾向がある。
そして中東地域のデジタル化が進むにつれて、中東諸国は、敵対する勢力によって経済的または軍事的な力を削ぐためのサイバー攻撃にさらされている。攻撃者たちはそんな目的でシステムの脆弱性を突こうと狙っている。
中東のサイバー領域は、サイバー情報収集やサイバー戦争、そして紛争のハイブリッド化(現実と仮想空間の攻撃の統合)において先駆けとなる動きを見せていると言っていい。しかも日本も決して対岸の火事ではない。そこで今回は、イスラエルとパレスチナの紛争を受けて、中東地域におけるサイバー紛争の実態を見ていきたい。
中東地域を動かす最大の対立軸のひとつは、サウジアラビアとイランのライバル関係にある。サウジアラビアはイスラム教スンニ派の大国で、イランはイスラム教シーア派の国家だ。
サウジアラビアとイランはどちらも、各地域で民兵組織を含むさまざまな勢力を支援し、現実の争いのみならず、サイバー攻撃によって代理戦争とも言える紛争を繰り広げている。サイバー工作でどちらも地域での影響力を増強しようとしている。
イスラエルは軍事攻撃の代わりにイランをサイバー攻撃
さらにイランの場合は、特にイスラエルとの対立が顕著になっている。イスラエルはイランの核開発問題などで、イランに対して予防的な軍事攻撃も辞さない姿勢でいるが、それをアメリカが抑えている。代わりに、イスラエルはアメリカとともに、イランのナタンツ核燃料施設をサイバー攻撃して、燃料工場を破壊する作戦に参加した。
中東各国は、サイバー領域での相互接続と、ハイテクな電子インフラが劇的に変化したことによって、サイバー分野をそれぞれが国家戦略と軍事戦略に密接に統合しつつある。
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