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自民大敗、でも石破続投......なら、次の政局はいつ、どんな形で訪れるのか?
53・85%という低投票率で「風」が吹いた理由
第二に、いわゆる「裏金問題」に関与した議員に対する「扱い」という点だ。裏金問題に関与したとされた議員のうち今回の選挙に立候補した自民党議員は44人。公認を得られず無所属で立候補した議員が10人、公認を得て小選挙区で立候補したが比例重複立候補は認められなかった議員が34人だ。非公認の立候補者10人のうち、萩生田光一元経産相(東京24区)、平沢勝栄元復興相(東京17区)、西村康稔元経産相(兵庫9区)の3氏を除く7人が落選したが、7人は全員旧安倍派(清和会)に所属していた。公認を得たが比例重複は認められなかった候補者のうち落選したのは20人(59%)だが、武田良太元総務相(福岡11区=旧二階派)を除く19人が所属していたのも旧安倍派(清和会)だ。比例重複さえ出来ていたら議席を維持できたはずの落選議員は多い。
派閥パーティー券裏金疑惑を受けて昨年12月、当時の岸田文雄首相は旧安倍派所属の閣僚一斉更迭に踏み切ったが、そうした「安倍派パージ」の着地点の一つが今回の選挙結果に現れた面がある。今回の公認決定を巡る禍根は今後、自民党内の権力闘争の火種になる可能性があるだろう。
第三に、政治改革、特に「政治とカネ」を巡って、政治不信に端を発した「議会政治の弱体化」が顕著になったという点だ。派閥パーティー券裏金疑惑はもっぱら自民党派閥の問題だったが、政党から議員に支給される政策活動費の廃止あるいは透明化、政治資金監査の第三者機関設置、旧文通費(調査研究広報滞在費)の透明性確保あるいは経費処理化(渡し切りの廃止)、企業団体献金の禁止あるいは適正化(政党支部への寄付禁止または規制強化等)は、各政党共通の課題でもある。
しかし、通常国会で成立した改正政治資金規正法は不十分なものだった。にもかかわらず再改正のための議論は、一向に深まらず、そのまま総選挙に突入した感がある。総裁選で高市早苗候補を推した自民党員・有権者による投票忌避もあったかもしれないが、課題を迅速に解決できない政治、問題を先送りにする議会政治そのものに対する有権者の失望こそが、53・85%という今回の投票率(小選挙区投票率)に現れていると言えるだろう。政権交代が起きた2009年総選挙の投票率は69.28%だった。
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